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オペラ座の怪人

11.18鑑賞
2005.1.29 日劇3ほか全国東宝洋画系にて公開

 ブロードウェイ・ミュージカルの同名作の、完全映画化。
 ゴージャス! 主演のエミー・ロッサム(『デイ・アフター・トゥモロー』『歌追い人』)、ジェラルド・バトラー(『トゥームレイダー2』)、パトリック・ウィルソン(『フル・モンティ』『アラモ』)の3人が非常に歌がうまくて、圧倒される。
 
 エミー・ロッサムは7歳のときからニューヨーク・メトロポリタンオペラでの舞台経験があるという歌唱力を買われての起用だが、17歳という若さと、キャラ的なものもあって、怪人のミューズとなるのにはイマイチ妖艶さが足りない気がする(『デイ・アフター・トゥモロー』観た人はわかると思うが、いかにも優等生っぽいのだ)。でも、それでも次第に彼女がミューズとして違和感なく見えてくるのは、彼女の見た目に似合わぬダイナミックな歌唱力によるもの。歌もまた「身体性」の重要な一部であることがわかる。
 ちょっと話が戻るけど、「海猫」の伊東美咲は、現場では本当に脱ぐなどかなり「体当たり」撮影だったのに、スポンサーの意向で、ポスト・プロダクションの段階で、それがすべて削られてしまったらしい。だとしたら、そのために、彼女の身体性は失われ、従って存在感も失われ(彼女はほとんど演技はしていないので)、主人公の魅力がまるでなくなってしまったといえる。あっちへふらふら、こっちへふらふらのおばかジゼルちゃんだったのは、彼女が悪いわけではなかったのだ。
 この作品は、「海猫」と同系の{ふたりの正反対の魅力をもつ男と、どっちにもひかれる女の二面性}を扱った作品だと思うのだが、怪人とのデュエット、恋人ラウルとのデュエット、どちらも良くて、「あんた、どっちもいいと思っているのね」と、女にちゃんと感情移入することができる。それを歌で見せられると、下世話な例えだが、「こっちの男とのセックスもいい気持ち(ハーモニーがある)、あっちの男とのセックスも別の味わい(別のハーモニーがある)」というふうに、観る側としても体感的に理解できるというか。

 オリジナル曲を書いたミュージカル界の鬼才、アンドリュー・ロイド=ウェーバーが製作を担当、映画版のために新曲を書き下ろすという熱の入れようだが、彼は、この曲を書いているあいだ彼のミューズだったサラ・ブライトマンに去られ、自分がファントムになってしまった。余計なお世話ですね。
 
by ropponguimovie | 2004-11-23 21:51
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