『キャデラック・レコード』

 この映画を見たのはマイケル・ジャクソンの訃報の数日前。そして、映画のタイトルにあるアメリカン・ドリームな車『キャデラック』がこんなことになると、映画の製作中には想像されていただろうか。

http://www.sonypictures.jp/movies/cadillacrecords/

 黒人をアフリカから連れてきたときから、すでにヨーロッパ人はアフリカ人に対する「憧れ」があったのではないだろうか? 黒人の肌を彩る黄色、グリーン、ターコイズなどの色鮮やかなビーズは、大航海時代にヨーロッパ人がアフリカ人たちに「朝貢」するため、彼らに似合う色を一生懸命考えて、ベネチアのガラス職人たちに発注したものだって知ってました? 遊ぶことに秀でた人たちは、働かないと神様は自分を愛してくれないと考えている自己評価の低い人間たちにとって、いつだって憧れであり(深層心理では)、でも、顕在的には自己規律や上昇志向のない、見下すべき存在なのだ。

 『ドリーム・ガールズ』でダイアナ・ロスを演じたビヨンセ・ノウルズが今度はエタ・ジェイムスも演じるが、本作の舞台は『ドリーム・ガールズ』よりさらに古い。ポーランド移民人の「けったいな男」レナード・チェスがシカゴのサウス・サイドでバーを黒人音楽を演奏するナイト・クラブを開店したのが1947年。当時は公民権運動なんて想像もされてなかった頃。

 音楽を聴いていて思ったのは、彼らが作ってきた音楽はすごいけど、白人が「ぱくった」彼らの音楽は、やはり人口に膾炙する魅力を秘めているということ。本当のR&Bファンから見るとそんなのミルクを混ぜすぎのチョコレートのように邪道なんだろうけど、私にはそれがやっぱり心地よい。その作られ方は不幸であったにせよ、「父なるもの」「母なるもの」両者が融合しないとクリエイションは生まれないのだ。マイケル・ジャクソンはひとりでそれをやろうとして、全部をしょいきれなくなってしまったのだろうか。

2009.8.15 新宿ピカデリー、恵比寿ガーデンシネマで公開
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by ropponguimovie | 2009-07-01 10:20
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