『ニライカナイからの手紙』

 2005年、暫定ナンバー1、っていうより、生涯のベスト3ぐらいに踊りでたかもしれない。とりあえず、流した涙の容積としては、『セントラル・ステーション』について生涯2位です。試写室でも、もうみんな涙鼻水ぐじゃぐじゃになっていて、お互い「いい映画だったですねーでも鼻赤くって他の人と顔を合わすのがバツ悪いっす」みたいな感じでみな下を向いて帰っていくさまが印象的でした。

 もちろん、「泣いた=いい映画」では全然ないと思います。その「泣かせる」シーンはちょっと長すぎて策にはまった気もするし、だいたい、この映画には、「論理的に、ありえないんじゃない?」ということもたくさんあります。(この映画の大事なキーワードが「消印」なのですが、「消印」というのはすべての郵便局が押すわけではなく、郵便物は本局に集められ、そこで消印が押される。)。
 私の知人の編集者さん(沖縄大好き)は、「沖縄のよさがちっとも描かれていない! これなら沖縄が舞台じゃなくてもいい」といって立腹してました。人間というのは好きなものには期待するから、その期待にこたえられなかったということなのでしょう。
 それでも私のツボに入っちゃったのは、この映画が、人間が「受け止められなければいけない運命」にぶち当たったとき、人間がどのような方策を考えつくか、っていうアイディアがとても素敵だと思ったから。その作業は母親にとってずいぶんつらいことだったと思うのですが、彼女はそれをやりとげた。この母親は、「人生の中で自分の役目を100%果たした」というふうに思うことができて、人間が内側にもつエネルギー、今回の映画では「知恵」というようなものの大きさに触れたと思ったのです。

 見どころの一つですが、おばあさんが出てきます。そのおばあさんの笑顔、そして、「信じていればそうなるんだよ」という一言が、映画の中でそういうセリフが出てくる映画なんて星の数ほどあるけど、一番説得力のある笑顔でした。「あんな笑顔のできるおばあさんになりたい!」と心の底から思いました。

 主演の蒼井優も本当にいい。彼女は出演作品にも恵まれていて、今、大林宣彦(アンド角川春樹)が愛していた頃の原田知世みたいになってきたなあ。

 そういえば、『セントラル・ステーション』も「手紙」がモチーフの映画でしたね。この映画もそう。私って、「手紙もの」に弱いのかな。

 ちょっと意地悪な情報を先に出しておきます。「この映画、『魔女の宅急便』の郵政公社版じゃないのー」とか思いながら見ていたんです。見終わってから宣伝の方に確認したら「たしかにタイアップ入ってるんですけど、あまり協力してくれなかったらしいです」といってました(笑)。そういう世俗的な情報はここだけにとどめておいて、映画館に行ったら忘れてみてくだいね。そのために書きました(笑)
 でも、宅急便とか郵便とか、物流の人たちには、警察や消防といった仕事と同じように、一種の強い使命感があるのかもしれないな、などと思ってみていました。
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by ropponguimovie | 2005-03-24 08:49
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