『キング・コング』★◆

 12月17日公開なのですが、フィルムの到着がぎりぎりで、完成疲労試写が11日。うわ、これはもったいない、って感じでした。ちゃんとした映画なのに、プロモーション期間が一週間しかないじゃん!
 お正月第一弾の大作系の中の中でも、量・質おなかいっぱいになれる一本。3時間8分と長いのは、この映画が「コングと恐竜との戦い」といったショウ的な要素と、「なんでこういう話か」というドラマと両方描いているからだと思います。『タイタニック』と同じで、大筋はみんなわかっているわけだから、それにトッピングするドラマに時間が割かれている。

 ピーター・ジャクソン、例の3部作のあとではこんなのお茶の子さいさい、っていうのはうそだけど、今までの3部作で培った知識がドラマ構成、撮影の両方にいかんなく生かされている。

 「美女と野獣」の最高のバリエーションである映画だが、正直、その意図するところは、いまだに謎である。(「コングが」ってことじゃなくて、「美女と野獣型物語」が。)ジャック・ブラックがはくラストのセリフは非常に意味深である。とくにこの映画は、悲しい映画であるだけに、単純な画面、単純なおお話にくらべて、非常に複雑な印象を残す。ちょっと、忘れられないラストである。

 恐竜との戦いシーン、巨大な虫が襲ってくるシーン(恐竜より怖かった)、など、映像技術を駆使して、「今の映画はここまで見せなくっちゃ!」と思わされるシーンの数々(これは監督、切れなかったでしょう。)とくに、ニューヨークでアンと再会したコングがセントラル・パークの氷の張った池の上を、お尻ですべり回るシーンは、『タイタニック』の船のへさきと肩を並べる名ラブ・シーンです(ラブ・シーンはばかっぽくてナンボ)。世界の恋人達よ、氷のはった池をはってもまねしないように!

 それにしても、自然の生き物であるコングをどくろ島から連れてきてコングを鎖で縛って、お金をとって見せよう、という人々のさもしさを描く映画を、セキュリティチェックでぴりぴりの試写室で見せられていることという二重構造に気がついて、なんだか考え込んでしまった。そんなコングのパンフレット見たら、監督がインクレブル一家のキャラクターがついたシャツ着て写真に写っていて、笑った。この人、ほんと、いい人だなあと思った。

(追記1)
 恐竜や大型の虫、想像上の気持ち悪い生き物などがぞろぞろ出てくるが、丸腰の人間って本当に弱いんだなあとと考えさせられる。あの大型の虫なんか、あんなのにやられたらひとたまりもないものね。
 しかし、それらのシーンは、人間が大脳の発達と引き換えに手にいれたものが、「やわらかい肌」であることを見せ付けた。どんなに毛むくじゃらの男でも、あの恐竜だのムカデだのの前では、赤ちゃんの肌のようにやわらかい。でも、その肌を使って人間は抱き合い、肌でコミュニケーションすることができるのだ。キング・コングと人間を隔てたものは、あの毛むくじゃらの皮膚である。なんだか、自分が人間の肌をもっていることが、とてもいとおしく感じられるシーンの連続でした。
 
 うーん、しかしこの映画では、もう一種類の「人間」が出て来るんだよな。うーん、あの「ジャングルクロベエ」みたいの、いかがなものか…。

(追記2)
 エイドリアン・ブロディは、恐竜に追われて逃げても、やっぱりナチスに追われて逃げているように見える。

「参考になった!」
 
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by ropponguimovie | 2005-12-15 09:33
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