『ファースト・ディセント』

 迫力満点! やっぱりスノー・ボードの映画はこうじゃなくっちゃ…。(でも『db』が失敗しているのは、役者の問題とか予算の問題ではないと思う)。とても素晴しいのは、この映画では出てくるボーダーたちがトリノ五輪金メダリストという世界最高峰でありながら、それでも「彼らは準主役、ほんとうの主役はアラスカの大自然」という態度を貫いていることです。もし、観客がその山並みを覚えていて、ボーダーたちの名前を覚えていなかったとしても、彼らは怒らないと思う。彼ら自身は山と自分たちのセッション(それは「むつみあい」という言葉がとても似合う)を十分に楽しんで、それでじゅうぶんに満足しているからだ。

 材料が豊富である。スノーボードの歴史、彼らのゲレンデでの迫害、経済効果による、手のひらを返したようなスポンサーやFISの態度、ニューエイジスポーツの選手が抱える刹那主義、虚無主義との直面(麻薬やってたけど禁止薬物じゃなかったのでオーケーだった!)。豊富な競技シーン。日本で開催された、巨大予算によるアイスショー(東京ドーム!)では、その異様な盛り上がりにためらいつつも、「拍手されるとつい頑張ってしまう」、パフォーマーとしての素直さがいい。

 「人間と自然の共生」。サーフィンやスノーボードには、みんながイメージしようとしてなかなかできない、理想の姿の一例が提示されているように思う。人間は「反自然的」な存在で、エコに生きようとしてもそもそも無理、というか、芸術などのように人間らしいよさまで否定してしまう部分がある。人間らしさを否定せず、しかし自然ともともに生きられる、モデルが、不完全ではあるけれど、見える。
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by ropponguimovie | 2006-10-22 09:16 |
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