線路と娼婦とサッカーボール

 「線路」はここでは社会の底辺だ。線路から3メートルぐらいしか離れてないところに粗末な家が立ち並び、彼女たちはそこで暮らし、仕事をしている。何の仕事? その家を仕事部屋に、客をとることだ。報酬は2ドル半。しかし、彼女たちには誇りもある。この地域でなら、ポン引きなしに独立して客をとることができるからだ。

 「リネア・オールスターズ」。それが、彼女たちの新しい希望となった名前。「リネア」とは線路のこと。とうの昔に片方の視力を失い娼婦の仕事を洗ったサポーター、コーチというよりユニフォーム・デザインの仕事に魅力を見出しているゲイのキンバリー、文句もいわず彼女たちの遠征費用を支えたスポンサー、「グアテマラ・トラベル・ネット」の社長、ランディ。一癖あるメンバーたちの奮闘を描く。

 この国の「暴力の文化」度はすさまじい。選挙のたびに候補者、支援者40名以上が殺される国。女性ばかりを狙った殺人事件の嵐が吹き荒れる国。「内戦後の平和はきわめて高い殺人率に支えられている」(解説の飯島みどりさん)って何それ?

 そして、娼婦として働く女たちとつがってる男の大半が失業中か塀の中。ドメスティック・バイオレンス、性的虐待は歩けばぶつかるという感じ。

 どんぞこの中の明るさ…なんて表現が、とってもいやだ。陳腐すぎる。
 でも、彼女たちは、その陳腐なことを映画の中でしている。それは、「笑ってる」ということだ。このシンプルな行為に、見る人は目を向けずにはいられない。
 とすると、「幸福」は「平和」とは関係ないということになる。この暴力社会で、彼女たちは笑っている。それも腹のそこから。
 20年娼婦をやり、18年前に引退し、現在はコンドームのy行商が唯一の現金収入、3人の子供のうち、一人は殺され、酒によった恋人に左目をつぶされ、別の恋人に義眼をもらって生きてきたマリナの笑顔。すごすぎる。どう見ても幸せそうに見える。
 
 幸せの条件とは何か? もうわかってるけど、やっぱりそう書いてみたくなる。
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by ropponguimovie | 2008-02-11 17:34 |
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