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今週、いちばん癒せる映画! vol.27『吉祥天女』


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今週、いちばん癒せる映画! vol.27『吉祥天女』

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 なんと、「読者プレゼント」の告知です!
 楽しみにお待ちください。


 さて、今週おすすめの癒せる映画は、『吉祥天女』です。


 原作は、吉田秋生の漫画。83~85年に発表され、小学館漫画賞もとりました。
 私は吉田秋生という名前、彼が評判の高い漫画家であることを知っていましたが、
作品を読むタイミングを逃していました。映画を見たあと、あんまりびっくりして、
初めて読みました。

 
 過去に何重にも大人たちの犠牲にされたために、激しい怒りを抱えたまま大人へ
の入り口に差しかかった少女の物語です。
 (性的?)暴行、家の都合で振り回され、旧家を守るため許婚がいるという設定の
女子高生。そして、生まれ故郷の古い町に12年ぶりに戻ってきたという彼女は、
黒い髪と白い肌のミステリアスな美貌で、僕のようにかしずく男に送迎されて
車で登下校する……。


 演じている鈴木杏がいいです。鈴木杏は、インタビューで、「私には、
ミステリアスなところが1ミリもないものですから」と答えていますが、
鈴木杏はどうしてなかなか、魔性の女役が似合います。
ちらっとしか出なかった香港製作の『イニシャルD』もそうだし、
あと、子役で出た『ヒマラヤ杉に降る雪』だって、幼馴染の少年をぞっこんに
させてなかったっけ……?


 そんな魔性の少女、小夜子には、さまざまなハラスメントが襲い掛かるのですが、
小夜子は男達からの脅威を、見事にバッタバッタ。身体的パワー(武道)、
頭脳的パワー(姦計)、性的パワー(ひとりつつもたせ? 要するに、レイプのでっちあげ)
で、男達を次々に今の座から引きずりおろしていきます。死においやられる者も
続出します。
 彼女はいいます。
「私は、腹を立ててるの。自分が生まれてきたことにも。この世界にも」


 この「強い女」の設定は、80年代とどう関係があるのかな?
 80年代って、けっこうフェミニズムがもてはやされた時代でした。フェミと商業主義の
蜜月の時代、とでもいいましょうか。ジョルジオ・アルマーニが肩にがんがん
パッドの入った服を作り、マドンナが「処女のように~」とうたい
(つまり「私は処女じゃない」と歌っている)、「レディ80」なんて
名前の口紅が発売されたりなんかして。
 そういう流れでこのマンガが出てきたのか、でも、当時でもじゅうぶんに
小夜子は斬新な存在だったのか(後者だろうなあ)


及川中監督は、「『少女が犠牲になる事件が続いている今こそ
映画化する意味が十分にある』という思いのもと、作品化に踏み切った」と
コメントしているそうですが、私としては、「商業主義がフェミと手を切った
今こそ、映画化する意味がじゅうぶんにある」という気がします。
もう、誰ももてはやしてくれないのに、セクハラはあちこちでおってくるのに、
自立はしてかなきゃいけない。


 さて、本作には、原作にはなかった癒しのストーリーが追加されています。
それは、小夜子に憧れるクラスメート、由似子です。
 映画は最初、由似子が主人公であるかのように始まります。というのは、
高校生になった由似子(本仮屋ユイカ)は、男性にまるで興味がない、という
ことが物語の最初から明示されていて、そこにどうやらダークサイドが
あるだろう、ってことがわかるからです。この由似子のトラウマは、しかし
由似子本人と同時に、小夜子にとって劇的なものでした。
 由似子が子供から離れられなかった記憶……それを彼女が覚えていたことが、
小夜子を「この世の全てに腹を立てている」状態から、脱出させるのです。
 このストーリーを得て、『吉祥天女』は20年を経て、進化した気がします。


 原作が少女マンガなので、本当にマンガ的というか(当然?)ちょっと
昼メロというか大奥というかお約束どおりのエピソードも多いのですが、
テーマとして流れているものは深いです。能の「羽衣」がバックグラウンドに
使われているのも、その深みにさらに一役買っています。

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「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.27   発行55部
出典を明らかにしていただければ、無断転載は可能です。
2007.6.29  発行
発行人・石塚とも
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by ropponguimovie | 2007-06-29 22:00 |