カテゴリ:く( 2 )

今週、いちばん癒せる映画 vol.18『クイーン』

メルマガご購読、ありがとうございます。
 このメルマガは、今週公開される映画の中から,
「この映画は癒される!」という視点に絞って1本を紹介するマガジンです。


 ロサンゼルス近郊、マリナ・デル・レイからお送りするメルマガ2週目です。
 とてもいいところなのですが、郊外にいると、映画館が遠く感じます。自分に車があれば10分ぐらいで行けるのですが、バスを使うと30分ぐらいかかってしまいます。また、前回滞在したクリスマス・シーズンはアカデミー賞レースの作品が目白押しだったのですが、今回は自分の情報不足もあり(英語で面白そうかどうか判断するしかない)これは! という作品にまだ出会えないでいます。(1本だけ前情報なく見た映画が、これがもう見事な駄作でした…)


 さて、今週の「癒せる映画」、オススメが2本あります。プリンセス・ダイアナの死後72時間、イギリスの女王と労働党党首の首相との不思議な交流を描いた映画、『クイーン』。そして、2006年のアカデミー賞外国映画賞『ツォツィ』。
 1本、来週に送ろうかな~と思ったんですが、来週もまた、『リンガー! 替え玉選手権』と『ハンニバル・ライジング』の2本もある。。。。


 仕方がないので、今週、2本書きます(笑)
 執筆生活をかの地で楽しんでいますのでね。


 これはほんとに、アイディアの勝利ですねー。10年前のダイアナ元皇太子妃がなくなった日、世界中から「意地悪姑」の視線を浴びてそれでも立っていた女王エリザベス2世。その彼女の孤立と、長年にわたるサッチャー政権の後労働党から首相に就任した若き労働党の党首にせまられる選択。(これが保守党だったらここまで面白くなかったでしょう)女と男、貴族と労働者、老人と若者、いくつもの対立構造があって、非常に質の高い緊張感が持続する120分となっています。


 さて、映画というのは、宣伝活動のために、公開日が近づくと、公開試写会をやったり、タレントを招いてトークショーをやったり、いろいろなことをするんですが、この映画のキャンペーンを取材した娯楽系の記事を見て、一瞬がっかりしてしまいました。スポットが当たっているのは主人公のふたりではなく、ダイアナ妃の映画、みたいに聞こえるからです。
http://news.goo.ne.jp/article/mycom/business/20070412-03-mycom.html


 しかし…、よく考えてみると、「ダイアナ妃」という不世出のアイドル、不世出の考えなし、不世出の不思議ちゃん(失礼?)、そして不世出の美人、だったからこそ、美人、というような天然資源(??)を持たず、才覚だけで「思惑」の中に生きなければいけなかったふたりがさらにひきたつわけです。


 他の映画批評家の方の評論で、「この映画は、イギリスがいかに頑張ったか、というプロパガンダだ」というのも読んだのですが、私は、そういうふうに感じませんでした。
 なぜなら、この映画の面白さは、エリザベス女王、労働党首トニー・ブレア、どちらも、少し舵取りを間違えれば、自分たちの立場が危うくなることを、隠さずに描いているからです。


 イギリス王室と日本の皇室の違うところは、ちょっとでもイギリス王室が自分たちの意向と違うことをすれば、王室廃絶、共和制への世論がすぐに沸きあがることです。日本の皇室にそれが起こらないのは、日本の皇室の方々がイギリス王室と違って常に国民を愛し、愛される行動をとっているからだ…という主張もあるかもしれませんが、日本よりイギリスの方が、ずっと、「イギリス王室は国民との契約の元に存続している」という感覚がずっと強いと思います。名誉革命によって正確なネタモトが検索できなかったので明言を控えますが、イギリスの世論調査で、「次のイギリスの王室を継ぐのは誰だと思いますか?」という質問をしたら、「王室はその頃なくなっている」という答えが、「チャールズ皇太子」や「ウィリアム王子」を超えてしまった、という記事を読んだ記憶があります。
 同時に、イギリスの君主は、天皇よりずっと強い権限をもっており、国会や内閣が機能しなかった場合には、適切なアドバイスを元に(誰に助言を求めるか、自分で決めないといけない)、国のゆくえをたった一人で決めなければいけません。エリザベス2世は、26歳でこの地位についた、ダイアナ妃より、雅子妃より、ずっとずっと重荷を背負った王族なのです。
 こちらを参考にしました。
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20050215A/index3.htm


 この映画の中でも、「イギリス王室の伝統」を重んじて初期の対応が裏目に出たイギリス王室は、国民からどんどん嫌われていく姿が痛々しく描かれています。おまけに、母親のエリザベス皇太后や夫のフィリップ殿下は、この問題に対して「悪いのはダイアナ、わかってないのは国民」の態度を貫いていて、おまけに息子はダブルスタンダード(ダイアナには子どもの母親だから弔意を示すが、愛人との不倫をやめたわけではない)、完全に孤独です。


 一方の新首相、トニー・ブレアも、せっかく選挙で奪い返した与党の地位を、どう保つか。彼の妻は王室廃絶派であることを
隠しませんし、労働党というのは基本的には格差否定の党。ところが、女王の孤独に向きあううち、彼はこの地位に乗じて国民とともに王室を批判するわけにはいかなくなってくるのです。そして、彼女に国民の意向をくむように進言したことが(それは、党利党略とはむしろ反対なのですが)結果的に彼の支持率を上昇させるのです。

 エリザベス女王、ブレア、ふたりの俳優は好演なのですが、ふたりともダイアナと違って、「スター」としてのカリスマ性が、スクリーンを見ていても全然ない演じ方をしています。そのふたりの苦悩にだんだん共感し、同じ人間としての悩みを共有できるところに、この映画の癒しがあるように思います。

*******************************
「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.18  発行43部
出典を明らかにしていただければ、無断転載は可能です。
2007.4.13 発行
発行人・石塚とも
お友達にも教えるには…
http://www.melma.com/backnumber_164500/
お便りフォーム
http://www.enpitu.ne.jp/tool/formmail.cgi?id=72381
バックナンバー・ブログ
http://rmovie.exblog.jp/


1票、お待ちしてます♪
にほんブログ村 映画ブログへ

メルマガも登録してね→  こちら


感想が送れるウェブ拍手
b0055288_14492653.gif
[PR]
by ropponguimovie | 2007-04-13 15:16 |

『クロイツェル・ソナタ』

 原作はトルストイで目新しさはなく、歌舞伎のようにできている話を楽しむ映画である。
 主演の夫婦ふたりが非常に美しいのだが、その美しさが「虚像の夫婦」としてうまく使われている。
 ただ、トルストイが原作で書かなかったのか、映画のなかでカットされているのかわからないが、女の方がどうしてこの結婚にのってしまったのかの描きこみが少なかった。夫の方は、子どもの頃からの生い立ちによって、家族に対して「憧れと憎しみ」を同時にもっていたことが描かれている。しかし、夫に強引にくどかれ、一時は主婦・母になることに喜びを感じていた妻はなぜそのような選択をし、同時になぜ家庭の中に息苦しさを感じるようになったのだろうか。

 夫の目がくりくりしているからかもしれないが、ヒロミ・ゴーとユリエ・ニタニの夫婦を思い出しちゃった。ユリエ・ニタニは、「3回で結婚を申し込まれた」を、どうしてノーをいうすべもなく、押し倒されるように受けてしまったのだろう。

1票、お待ちしてます♪
にほんブログ村 映画ブログへ


ウェブ拍手
b0055288_14492653.gif
[PR]
by ropponguimovie | 2006-10-22 23:12 |