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『宇宙戦争』

 見て愕然とした。これが、30年前に「宇宙から突然宇宙人がやってきて、仲良くしましょうよといった」映画を作った人の作品なのか。20年前に、心の傷ついた少年に「僕はいつも君の心の中にいるよ」という宇宙人を描いた人の作品なのか。

 子どもの頃、『未知との遭遇』と『スター・ウォーズ(エピソード4)』を見て、「『スター・ウォーズ』の方が断然おもしろいなあ、『未知との遭遇』って何じゃありゃ」と思ったんだが、歳を重ねるにつれ、だんだんそのすごさがわかってきた。まず、それまで宇宙人いうのは「敵」という発想しかなかったアメリカ映画に、「友達」という発想を持ち込んだこと。これは、西部劇時代だったらインディアンと友達になったとか、現在のテロリスト悪役時代ではテロリストと友達になったとかいうぐらいの大事件なのだ。
 そして、その背景として、スピルバーグが持っていた、徹底的なまでの楽天主義がある。『未知との遭遇』日本公開は78年、アメリカ公開は77年。70年代公民権運動と、それにともなってアメリカ映画を席巻したアメリカン・ニュー・シネマが終焉を告げるころだ。
 公民権運動は、さまざまな形でアメリカ社会に根付いたが、社会を告発するけど出口に救いのないアメリカン・ニュー・シネマに、人々は飽き飽きしてきた。そこへ、満を持して登場したのが、「クロサワ・キッズ」のスピルバーグとルーカスだったのである。彼らの初期の映画には、「そんな暗いこといってないでさ、明るくやろうよ」というムードが満ちていた。日本はこのあと、「ネアカ・ネクラ」という言葉で暗くあろうとする人間を排斥する空気が充満していく。

 ところが、どうだ、この映画の救いのなさときたら、まさにアメリカン・ニュー・シネマではないか。襲来する宇宙人に「敵側の事情」はまったく描かれず(あっさりしすぎてもはや新鮮)、主人公たちは、容赦なく危機に追い込まれる(『ジョーズ』っぽい)。しかも、敵とトム・クルーズ(主人公)はまともに対立する関係ですらない。敵の強さは圧倒的で、主人公はひたすら逃げるだけ。政治理念はなく、恐怖だけがある、まさに宇宙人=テロリスト状態である。『未知との遭遇』で、ある日理屈抜きに押しかけてきて「友達になりましょう」といった有無をいわなさと、正反対である。

 スピルバーグは自分で自分の映画のパロディを作っちゃったのだ。娯楽映画としてどうか、とか、興行収入としてどうか、という疑問を唱える人はいるだろうが、この映画は、スピルバーグの映画史の中では本当に重要な作品だと思う。スピルバーグは、怒っているのだろうか。絶望しているのだろうか。
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by ropponguimovie | 2005-06-28 10:53

『亡国のイージス』

 エンタテインメントとして、本当に面白かった。自衛隊が全面協力ということになっているが、自衛隊に都合の悪いことは書いていない、というタイプの映画ではない。むしろ、自衛隊内、防衛庁内、首相官邸との対立関係はダイナミックに描かれており、だからこそエンタテメントとして成立する。(原稿未完)

6月21日鑑賞
7月29日より公開
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by ropponguimovie | 2005-06-24 01:52

『NaNa』

 とっても笑ってとっても泣いて、とっても考えさせられた2時間だった。濃かった。(原稿未完)。

6月17日鑑賞
9月3日 全国東宝系にて公開
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by ropponguimovie | 2005-06-24 01:49

『七人の弔』

 ダンカンの初監督作。モスクワ国際映画祭へのパーステペクティブ・コンペティション部門への出品が決定している。
 児童虐待をモチーフにした作品。親とともにサマーキャンプに参加した子ども達。実は、親は、子ども達を殺して臓器売買の報酬を得るため、今まで虐待してきた子ども達とともにキャンプにやってきたのだ…。

 他の評論家の方のサイトで、「物語にもうひとひねり欲しかった」と書いてあるのを読んだ。実は、私も、途中でこの話のオチは見えてしまったのだ。ダンカン演じるキャンプの仕掛け人、垣内がこのキャンプに関わるようになったわけをきいて。
 でも、この話のオチはそれでいいし、そうなるしかないのだ。
 映画のなかで、けっこう確信犯的に、あるセリフがしつこくくりかえされる。「子どもというのは、素晴らしい可能性をひめた存在なのです」。それが、映画の中で実証されるように、この映画はできている。だって、本当に子どもというのは素晴らしい可能性をひめているのだから。そうじゃなくっちゃ!

6月20日鑑賞
8月 テアトル新宿他にて公開
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by ropponguimovie | 2005-06-21 11:28

『ふたりの5つの分かれ路』

 フランソワ・オゾンの最新作は、今までとはちょっと趣向が違います。ショッキングなトリックはというより、人生の小さな曲がり角をさりげなくじっくり見せる。
 そういうあたりが、これは彼の「演出実験」なのかな、と思わされる。
 そして、彼ならではの世界…音楽がきわだってます。今回はイタリアン・ポップスです。

 本作から彼の新ミューズとなったのがヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。41歳ですから多少腰まわりにお肉もついてますが、とてもチャーミングに撮れてる。オゾンの美観ってあまり一貫性ないように見えるけど、女をまるごと個性でとるってことにかけてはたけてます!

 6月16日鑑賞
 2005年8月公開
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by ropponguimovie | 2005-06-17 10:42

映画 able3 をサポートしましょう!

 ダウン症と自閉症で英語も全くしゃべれない少年ふたりがアメリカにホームステイする1ヶ月をおい、毎日映画コンクール記録文化映画賞も受賞した「able エイブル」。
シリーズ第三弾にあたるbelieve が製作中です。今回の映画の舞台は2005年3月に行われたスペシャル・オリンピックス長野大会です。

 シリーズをごらんになった方はわかると思いますが、「人間って、こんなに暖かいパワーをもっているんだ」と感じさせる映画、他にはちょっとないですよね。
 
 映画製作資金は寄付金によってまかなわれています。
 寄付金のあて先は郵便振替で
 00150-6-683940 
加入者名 able 製作委員会 

 1万円以上寄付した方には、映画の末尾に名前の掲載が可能です。(2005年7月まで。振り込み手数料不要)
 公式サイトはこちら
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by ropponguimovie | 2005-06-15 10:37 | イベント・記者会見など

『ヒノキオ』

  何をいまさらロボットの話? と思ったが、今までのロボットものとは根本的に違っていた。物語の中のロボットは、「身体はあるのに心はない」と悩む、完全擬人化の世界ですよね。ピノキオから鉄腕アトムからAIに至るまで。しかし、この映画の中ではロボットの役割はまったく違う。本作の中では、ロボットは完全に「人のツール」であり、自分独自の人格をもつことはしない。いや、独自の人格を持ち始めたとき、このロボットはあっというまにその事実に耐えられなくなってしまう(こんな選択をするロボット、はじめてみた。新鮮だった!)

 全編子供たちの物語だが、ていねいに、子供の視点にたって作られている。子供たちも、スタッフの期待にみごとにこたえる演技力の高さである。彼らが通う小学校の先生が原沙知江なのだが、彼女がオバサンに見える(笑)。それは、私も一緒になって子供の視線で見ているからだ。

6月14日鑑賞
7月 全国松竹系にて公開
 
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by ropponguimovie | 2005-06-15 10:19

『愛についてのキンゼイ・レポート』

 「キンゼイ」って、今の若い人たち、知ってるのかしら? 1940年代ににアメリカのキンゼイ博士が性についての質問を全米18000人に対し面接調査、それを本にまとめたのが「キンゼイ・レポート」だ。
 …ということは私もぼんやり知っていたけど、1948年に出版された男性版が学術書としては史上初の20万部を売り上げたこと、男性版で彼は名声を得たのに、その5年後に発売された女性版によって彼は学会を追われること(女達の婚前交渉や自慰体験を暴いたから)、こうした調査はロックフェラー財団の資金援助によって行われ、また同財団の資金打ち切りによって、彼の研究は終わらざるをえなかったこと、などは、今回の映画を見るまで知らなかった。

 キンゼイを通してこの映画が訴えてくることは2つある。「僕には、どれが普通か、正常かということはできない」。「『マスターベーションしすぎるとガンになるのか?』 僕にはわからない」。つまり、彼がやったことは、性をあからさまに白日のもとにさらしたというよりは、わからないことはわからないと素直に認めるということだった。キンゼイは、光を当てることができることとできないことを分類することに成功した。それが彼の功績だったのである。

 この映画は、キンゼイが彼の父を乗り越える物語でもある。キンゼイの父は厳格な道徳主義者であり、また息子の生き方に干渉しすぎたことからふたりの関係は決裂する。
 世の中には、すべてが「ドレミファ」に聞こえてしまう絶対音感という人がいるが、科学者キンゼイはすべての人が「個体差をもつ性的存在」に見えるという「絶対性科学者」となった。そうなることで、(つまり、父のことも一つの個体と見ることで)彼は父を乗り越えたのである。また被験者となった父の自らの性を述べるシーンもとても良い。

 主演のリーアム・ニーソン、キンゼイの妻役を演じたローラ・リニーがとてもいいのだが、さらに書くべきは彼の助手を演じたピーター・サースガード! 彼はほんと、これからもどんどん伸びていくだろう演技派ですね。『ニュースの天才』のときハンサムじゃないと書いちゃったけど、今回はなかなかどうしてセクシーだったですよ(とくに体毛が。余談ですけど、「胸毛」って「指紋」と同じぐらいひとりひとり違うんですね)
 
6月14日鑑賞
8月 シネマスクエアとうきゅう シネスイッチ銀座他にて公開
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by ropponguimovie | 2005-06-15 09:45

2005年5月に見た映画

★はオススメ印
◆は誰にでも勧めるというのではないが、個人的には問題作だと思っている印
□は、すごく期待していたのに、裏切られた~(怒)という印

『姑獲鳥の夏』(そういう話だったんですか…)
『ハッカビーズ』(今ひとつ理解不能、もう一度見るべき?)
『ライディング・ジャイアンツ』★(個人的にサーフィン映画大好き)
『理想の女』★(ぴりりと落ちのきいた、いい作品)
『バットマン・ビギンズ』★(クリストファー・ノーランならではのクールさ)
『チーム☆アメリカ ワールドポリス』(R-18)★◆(究極のガス抜き?)
『マザー・テレサ』★◆(横紙破りか? 神の奇跡か?)

 映画以外の仕事をしていて、あまり見に行く時間がなかった。
 でも厳選して見たので、★の率は高いです。
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by ropponguimovie | 2005-06-05 12:19 | 見た映画一覧(簡易星取表付き)

『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』その1

 とっても面白かったですよ。書きたいことはあるのだけれど、もうちょっと後から書き足したいと思います。もうストーリーはみんなわかってるわけで、細かい点がああだった、こうだった、とか、そういう話になってしまいますからね。それって、劇場で確認したほうがいいでしょ。

6月3日鑑賞
7月9日日劇1ほかで公開
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by ropponguimovie | 2005-06-05 12:10