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2006年2月第3週に見た映画

★はおすすめ印
◆は誰にでも勧めるというのではないが、個人的には問題作だと思っている印
□は、すごく期待していたのに、裏切られた~(怒)という印

『ガーダ』★◆
 別記事参照。

『青いうた ~のど自慢青春編~』
 63年生まれの金田敬(さとし)監督が劇場用第一作として撮った、『のど自慢』の続編にあたる作品。

『ファイヤー・ウォール』★
 ハリソン・フォード、ポール・ベタニー主演のサスペンス。
 いまどきの銀行強盗は、金庫じゃなくてコンピュータハッキングによって金を盗む。銀行のセキュリティ・システムを壊すためには、セキュリティ担当者を家族を人質にとって脅せばいい…というお話。
 本気で、銀行のセキュリティ・システム担当者にはなりたくない、と思った。

『バイバイ・ママ』
 ケヴィン・ベーコン監督。息子を溺愛するゆがんだ母の愛の話。母親がかなり怖い。

『ククーシュカ ラップランドの妖精』★◆
 別記事参照

「参考になった!」
 
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by ropponguimovie | 2006-02-18 13:13

『ククーシュカ ラップランドの妖精』★◆

チラシに写っている子供の写真とか、ラップランド(フィンランドの最北地方)とか、妖精とか、といったものから、とてもイノセントな癒しの物語を想像していたのに、とんでもない工口工口映画だった(笑)。その工口が、男女の情愛ということを越えて、そこから生み出されていく生命力につながっていくのがすばらしい。第二次大戦中のドロップアウト兵(脱走兵ではなく、怪我をして地元民に助け出されたり、リンチで殺されかかったのを逃げ出したり)という、破壊を背負ったキャラクターたちの話であるので、よけいに意味がある。

 夫を兵隊にとられた留守を守り、ひとりで小さな農場(トナカイを飼って魚をとる自給自足の暮らし)を営む女性、アンニがふたりの負傷兵を助ける(ロシア人とフィンランド人。ちなみにフィンランドはソ連に侵攻されて独立戦争として第二次世界大戦を戦っているので、便宜上枢軸国側に入ってしまう)。「自然とともに暮らす、素朴な女性」「戦争を嫌い、敵味方なく助ける民間人…」といった姿をイメージするが、民俗衣装を身に着けた農民の女が男を見て最初に言うことは、「いい男ね。夫が出て行ってから、4年間ご無沙汰なの」「ロシア兵を引っ張って運んだだけで、身体が熱くなってしまったわ」。彼女のセックスアピールは、素朴かつまっすぐなのだ。大地から沸きあがる感じで、やがてそれが、ふたりの男の小さな火種になってしまう。

 上記にも書いたが、フィンランドは第二次大戦で一度は中立を宣言、しかし、ソ連の侵攻を受けたところから、便宜上ドイツと足並みが揃ってしまったため、枢軸国側に色分けされてしまう。しかし、国内の反戦ムードは強く、映画の中の負傷兵ヴィエッコも、学生上がりの徴兵組で、早く帰りたくてしょうがない。しかし、ロシア軍の下士官であるイヴァンは、ヴィエッコがどんなに説明しても、「ナチの一味」に見えてしかたがない。この不信感が、悲劇につながっていく。

 衝撃の(少々非現実的な)ラストは、しかし意味深長だ。世界平和のためには、一夫一婦制はだめ! もちろん一夫多妻もだめ! 男が、このような映画のラストのような状態を目の当たりにしたとき、武力衝突の可能性って、格段に減るんじゃないの。だって、下手したら自分の子供を殺すことになりかねないから。

「参考になった!」
 
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by ropponguimovie | 2006-02-18 12:53

『ガーダ』★◆

 「古居みずえ第一回監督作品」という情報だけで作品を見たとき、古居さんって、もっと若くて怖いもの知らずでガンガンつき進んでしまうタイプのビデオ・ジャーナリストかと思った。映像がとてもみずみずしく、また、主人公のガーダと視線が同位置にあったから。でもそうではなかった。古居さんは1948年生まれで、1988年にパレスチナで取材を始めたとき、すでに40歳だった。37歳のときに原因不明の関節リウマチに襲われ、1ヵ月後には歩行器なしで動けなくなった。その後、投薬したクスリが奇跡的にきき、回復したことから、「一度きりの人生で、何かを表現したい」と、OL生活からジャーナリストに転身する。

 この作品では、パレスチナの難民キャンプに育った女性、ガーダの人生をおいながら、カメラの前に立つガーダと、カメラを回す古居監督との心のケミストリーが映画の中に写し取られている。女性ジャーナリストであるミツ(古居監督のこと)の前でベールを脱いだガーダは、心のベールもぬいだ姿をミツに見せる。「伝統的な生き方はいや。進学したかったのに、女性ということであきらめざるをえなかった…」やがてガーダは結婚するが、「初夜の晩に、親戚一同に自分が処女であることを証明しなければいけない」という慣習を拒んで、夫と新婚旅行(慣習にはない)に向かう。当時、イスラエル・パレスチナの和平を信じていたガーダ。しかし、その後第2次抵抗運動が勃発。ガーダの親戚の少年も殺され、家々も破壊される。ミツと友情を深め合ったことで、ガーダの怒りや悲しみは、「私もまた、この事実を記録したい」という具体的な目標に変わる。ガーダは生き残ったお年寄りたちから、戦争の歴史の聞き取り調査を始めるのだ。

 地味な作品だが、写し取られているのは、世界でもめずらしい(これからも見ることはないかもしれない)貴重な映像である。イスラムの女性達がベールを脱ぎ、本音の姿を見せ始める。それは、ビデオ・ジャーナリストという職業的な技量を超えた、古居監督の人間的な技量と関わった成果だろう。「私はあなたが大好きです」。映像の最後にこうしたガーダのビデオレターが流される。ガーダの心からのメッセージに、胸が熱くなり、試写室に拍手がわいた。

「参考になった!」
 
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by ropponguimovie | 2006-02-18 12:15

2006年2月第2週に見た映画

★はおすすめ印
◆は誰にでも勧めるというのではないが、個人的には問題作だと思っている印
□は、すごく期待していたのに、裏切られた~(怒)という印

『ニュー・ワールド』★◆
感想はこちら

『雪に願うこと』

『ブロークバック・マウンテン』

『フープ・ドリームス』
(旧作、スティーブ・ジェイムズ監督『スティーヴィ』記事執筆のため)
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by ropponguimovie | 2006-02-11 00:22

2006年1月第5週、2月第1週に見た映画

★はおすすめ印
◆は誰にでも勧めるというのではないが、個人的には問題作だと思っている印
□は、すごく期待していたのに、裏切られた~(怒)という印

『かもめ食堂』
 群ようこ原作を、『バーバー吉野』の荻上直子監督で映画化。
 小林聡美、片桐はいり、もたいまさこが、フィンランドで築くシスター・フッド。

『プロデューサーズ』

『アンリ・カルティエ・ブレッソン 瞬間の記憶』★
 2004年物故、20世紀最大の写真家といわれたアンリ・カルティエ・ブレッソンが、93歳になって初めて出演したドキュメンタリー。(それまで「撮影の妨げになる」と、人前に出ることを徹底して避けていた)
 すべての写真があまりに素晴らしすぎて、写真をほめているのだから映画をほめているわけではないような気がするが、やっぱりすばらしい。
2006年春、ライズX他全国公開

『送還日記』★◆
 2004サンダンス「表現の自由賞」受賞。韓国インディの王、キム・ドンウォンがおった、「元」北のスパイ(みな南で20~30年服役したのち、韓国に暮らす)人々が、北に無条件送還されるまでの日々を描く。私が今まで鑑賞した中で群を抜く、試写室の熱気だった。
3月上旬 渋谷シネアミューズ他にて公開
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by ropponguimovie | 2006-02-11 00:19

『ニュー・ワールド』★◆

 ひゃーびっくりした。最初の水辺のシーンから、最後の木から実が一つ、ぽとりと落ちるシーンまで、まったくスキがありません。終わったあと、思わず拍手しちゃいました。

 けむくじゃらのコリン・ファレルが、新人女優でアメリカ先住民の血をひく15歳、クオリアンカ・キルヒャーを抱きしめている招待状を見たときは、正直、「キワモノ」という気がして、行くのをためらったのです。実際、完成披露試写だというのに、ピカ2がうまらないほどのお客さんの少なさだったし。ディズニーが作ったのがそんなに昔じゃない(10年前ですね)ポカホンタスの話だし。

 でも、行った人は『シン・レッドライン』のテレンス・マリック監督に期待して行ったのだろうし、実際、期待以上でした。せこい優越感なんですが、今日、ピカ2で見てよかった。これを逃すと松竹の試写室ということになるのだけれど、松竹の音響がいいとはいえない(おまけに段差が少ないため、実にしばしば前の人の頭でスクリーンが見えない)試写室じゃなくて、劇場で堪能というのは「あたった!」という感じでした。

 他の仕事との兼ね合いから、映画に全然集中できない日々が続いていたのですが、これはもうすみからすみまで見尽くしたという満足感がありました。

 映画の2つの文化を対立させるダイナミックな構成力、細かい画面への美意識、セリフの美しさ、音楽、男と女の愛し合い方(肉体的な触り方も含む)、日本の小泉堯史監督をほうふつとさせる、自然美の切り取り方。とくにすごいのが鳥の声で、最後のスタッフ・クレジットにこれをかぶせているおかげで、いつまでも聞いていたくなります。今のところ、今年のナンバー1です。

 

GW公開
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by ropponguimovie | 2006-02-06 23:48