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今週、いちばん癒せる映画!vol.3 『オーロラ』

今週、いちばん癒せる映画!vol.3 『オーロラ』
 このメルマガは、今週公開される映画の中から、
「この映画は癒される!」という視点に絞って1本を紹介するマガジンです。

12月16日公開のイチオシ! は『オーロラ』。

 バレエというのは西洋の「肉体の肯定」の結晶みたいなすばらしい芸術なのですが、なにしろ値段が高い。しかし、この映画では、オペラ座エトワールたちの華麗な舞踏を手軽に見ることができるのですから、これを逃す点はありません。

 タイトルは『オーロラ』ですが、『眠れる森の美女』とは関係なく、本作はニルス・タヴェルニエ監督のオリジナル・ストーリーです。
 で、オリジナル・ストーリーなのですが、監督が、古典バレエの名作のエッセンスを正確に踏襲して作っているため、「こういのがクラシック・バレエにあってもおかしくない」と思うほどの完成度の高いストーリーになっています。
 おとぎ話としての「コード」(←、と、取材のとき監督自身がおっしゃっていた)、ひいては、よくできたおとぎ話だからこそきちんと含むことができる暗喩にたっぷり満ちています。人間にとって自由とは何か? 境界線(国境)とは何か? 守るべき自分の領土とはどうやって作られるのか? そんなことを、考えてもいいし、考えなくてもいい。舞踏の技術に圧倒されるだけでも、悲恋物語にうっとりするだけでも、哲学的・政治的な問いを投げかけてもいい。楽しみ方が何層にも重なった、奥深い映画です。

 今回は短いですね(笑)。

 なお、このメルマガは、来週、再来週はお休みとなります。

12月23日公開の映画では『名犬ラッシー』『ダーウィンの悪夢』
12月30日公開の映画では『見えない雲』がおすすめです。

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by ropponguimovie | 2006-12-16 00:10 |

今週、いちばん癒せる映画!vol.2 『硫黄島からの手紙』

 このメルマガは、今週公開される映画の中から1本
「この映画は癒される!」という視点に絞って1本を紹介するマガジンです。

 今週の一本は、クリント・イーストウッド監督、来年のアカデミー賞の呼び声も高い、『硫黄島からの手紙』です。

 お能に『松山天狗』という作品があります。
 これは、西行法師が全国を旅していたときに、讃岐国松山まで来ると、その地でかつて憤死した崇徳上皇の例が天狗となって現れ、大暴れします。その天狗に西行が「あなたは本当にあなたはつらい思いをなさいましたね」という主旨の歌を詠みかけてやると、天狗は怒りを鎮め、再び山に帰っていく、というストーリーです。

 ここで西行法師が崇徳上皇の怒りをどうこうしようというのではなく、ただひたすらに耳を傾けた、そうしたら怒りが鎮まった、というのがこのお話のポイントだと思うのです。

 イーストウッド監督の「硫黄島二部作」は、すでにアメリカ側からの『父親たちの星条旗』をご覧になられた方は感じられたかもしれませんが、当時の兵隊たちの様子を、非常に突き放した視線で描いています。愛国心をいたずらにあおる姿勢は微塵もありませんが、逆に彼らを悲劇のヒーローとして持ち上げる姿勢もありません。ただ、戦っても国に呼び戻されプロパガンダの道具として使われても、「悲しい」という感情をぬぐうことができなかったその心の声にのみ寄り添っています。

 これは本作の『硫黄島からの手紙』も同様で、負けると分かっている戦闘の中での、彼らの心の中を描こうとします。

 とくにクライマックスとなるのが、英語のわかる日本の将校が、米軍の捕虜が持っていた母親からの手紙を日本の兵隊たちの前で読み上げ、日本の兵隊達が、「俺の母親が書いた手紙とまったく同じだ」と感じいるシーンです。

 もし私が(あなたが)戦争で死んだとしたら、どういうふうに扱ってもらえるのが嬉しいかな? こんな問いを発してみると、ある人は神社にまつられたら嬉しいと思うかもしれないし、またある人は、そんなところにまつられたってホメ殺しみたいで嫌だという人もいるかもしれないけれど、いずれにせよ「あのとき、どんな気持ちだったのか」知ってほしいと思うのです。
 この映画では、「国のために死ぬ」ということの是非論はさておいて、(もう現場に出されてしまったら、そんなことを考えている場合ではない)、自分に対して、家族に対して、本当の個人的な「気持ち」というものに視線をあてています。

 主演となる「嵐」の二ノ宮和也がとてもいい。彼は戦地に送られる以前に経営していたパン屋の道具を軒並み徴収され、戦争に対してかなりシニカルになっている男ですが、このシニカルっぽさは、今までの戦争映画にはなかったものです。新鮮ですが、リアルです。

 余談ですが、さきにあげた「松山天狗」は、観世流のみに伝わる能で、しかも長年封印されており、明治になってからようやく演じられるようになったそうです。天皇なのに武士ごときにいいように扱われて最果ての地に流刑にされてしまった上皇の怒りは、長年、誰にも扱えないほど大きいものだったのでしょうか。

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by ropponguimovie | 2006-12-08 21:40 |

今週、いちばん癒せる映画!vol.1  『007 カジノ・ロワイヤル』

 今週から、週に1本「今週、いちばん癒せる映画」を紹介して行きたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。

 今週の「いちばん癒せる映画」…『007 カジノ・ロワイヤル』(本当か!)

 試写を見たプレス陣からは早い段階から評判が高く、見るのを楽しみにしていました。

 で、私が今回のジェームス・ボンドに非常に強い印象を受けた点は…

1 ちゃんと仕事をしている。(!)
2 仕事をしているときは酒を飲まない。(!)
3 丸腰でも仕事ができる。(!!!)

 …と、ようするにちゃんと仕事をする人になっていました(笑)。

 でも、これは、007シリーズが作られるようになってからの、社会の変化、観客の変化が大いに影響していると思います。
 007シリーズって、今まで、私は見るたびに、頭の中で「植木等」の音楽がかかってました。「00ナンバーは、きらくな~ かぎょうと~ きたもんだ~」てなものです。クレイジーキャッツが歌うサラリーマンと同じように、思考停止したままでいいし、組織の名を借りてやりたい放題。「仕事って何?」ひいては、「この仕事をする自分って何?」と問うことなどなかったのです。

 それから、今回のボンドは、ボンド・ガールに対して今まで見せたかったことのなかった思いやりを見せます。殺人を目撃してしまったショックで、シャワーの中で泣きじゃくるヒロインを抱きしめてやるシーンは、寺島しのぶ主演の日本映画『ヴァイブレータ』を髣髴とさせる。若い頃の方が女性を包み込む包容力をもった男性として描かれています。

 こうした性格描写に大きな刺激を与えたのは、2002年の『ボーン・アイデンティティー』だったと私はふんでいます。
 酒も飲まないし、ずーっと暗い顔をしたままで「オレは一体誰なんだ!」と問い続ける、、でも仕事はめちゃめちゃできるスパイ、ジェイソン・ボーン。そんな地味な男が、観客にとっても意外なほど、かっこよく、見えたのです。
 歴代ボンド役の俳優に比べたらセクシーさでは数段劣るマット・デイモンと、歴代ボンド・ガールに比べたらセクシーさのかけらもないフランカ・ポテンテという地味なカップルで、興行収入1億ドルを稼いだのですから、意識せずにはいられないでしょう。さらにこのカップルは、ふたりで協力して仕事をする、対等なパートナーでもありました。

 経済自由化に加速がかかって、見る側は仕事や企業と自分のアイデンティティを一致させることができなくなり、仕事の中で「自分とは何者か?」を問い続けなければいけなくなっています。映画の中でMが「冷戦の頃がなつかしいわ」といっていますが、Mのいう「冷戦状態」とは、敵を単純に敵とみなし、思考停止したまま仕事を進められる時代のことをいっているのかと思うほどです。
 その中で、新しいジェームス・ボンドは、「この仕事は、自分にとってやる価値のある仕事なのか?」常に考えていますし、仕事に疑問を持てばやめようともします。けれども、いったんやると決めたらプロフェッショナル根性を発揮して、彼はしらふのままで、粛々と仕事を進めていきます。
 このような現代的な職業人の姿は、かつてのスーダラな007と違って、現代の観客の感情移入を容易にすると思うのです。

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by ropponguimovie | 2006-12-07 22:41 |

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by ropponguimovie | 2006-12-04 23:46 | メルマガ