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『スエリーの青空』ほか

2007年後半に印象深かった映画です。

『スエリーの青空』
『PEACE BED アメリカ vs ジョン・レノン』
『タクシデルミア』
『ぜんぶ、フィデルのせい』
『北極のナヌー』
『アース』
『ジェシー・ジェームスの暗殺』
『ハーフェズ ペルシャの詩』
『胡同の理髪師』
『明日への遺言』
『カンナさん大成功です!』
『サラエボの花』
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by ropponguimovie | 2008-02-11 18:41

線路と娼婦とサッカーボール

 「線路」はここでは社会の底辺だ。線路から3メートルぐらいしか離れてないところに粗末な家が立ち並び、彼女たちはそこで暮らし、仕事をしている。何の仕事? その家を仕事部屋に、客をとることだ。報酬は2ドル半。しかし、彼女たちには誇りもある。この地域でなら、ポン引きなしに独立して客をとることができるからだ。

 「リネア・オールスターズ」。それが、彼女たちの新しい希望となった名前。「リネア」とは線路のこと。とうの昔に片方の視力を失い娼婦の仕事を洗ったサポーター、コーチというよりユニフォーム・デザインの仕事に魅力を見出しているゲイのキンバリー、文句もいわず彼女たちの遠征費用を支えたスポンサー、「グアテマラ・トラベル・ネット」の社長、ランディ。一癖あるメンバーたちの奮闘を描く。

 この国の「暴力の文化」度はすさまじい。選挙のたびに候補者、支援者40名以上が殺される国。女性ばかりを狙った殺人事件の嵐が吹き荒れる国。「内戦後の平和はきわめて高い殺人率に支えられている」(解説の飯島みどりさん)って何それ?

 そして、娼婦として働く女たちとつがってる男の大半が失業中か塀の中。ドメスティック・バイオレンス、性的虐待は歩けばぶつかるという感じ。

 どんぞこの中の明るさ…なんて表現が、とってもいやだ。陳腐すぎる。
 でも、彼女たちは、その陳腐なことを映画の中でしている。それは、「笑ってる」ということだ。このシンプルな行為に、見る人は目を向けずにはいられない。
 とすると、「幸福」は「平和」とは関係ないということになる。この暴力社会で、彼女たちは笑っている。それも腹のそこから。
 20年娼婦をやり、18年前に引退し、現在はコンドームのy行商が唯一の現金収入、3人の子供のうち、一人は殺され、酒によった恋人に左目をつぶされ、別の恋人に義眼をもらって生きてきたマリナの笑顔。すごすぎる。どう見ても幸せそうに見える。
 
 幸せの条件とは何か? もうわかってるけど、やっぱりそう書いてみたくなる。
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by ropponguimovie | 2008-02-11 17:34 |

ある愛の風景

 『しあわせな孤独』のデンマークの女性監督、スザンネ・ビア監督の作品なのですが、公開が遅かった気がするなあ。今ごろ「アルカイダにヘリコプターが打ち落とされる国連軍エリートの夫」を描いても、ずれてる気がしてしまいますが…。

 美しい妻と娘、国連軍人(とても名誉ある仕事、というニュアンスなんだろう)というキャリア、すべてがそろっていた夫が、アフガニスタンに派遣される。軍人といっても前線の泥臭い仕事とは無縁だった彼にとって、そこで待っていたのはあまりに過酷な体験だった。 幸運にも彼は帰国するが、その過酷な体験を、彼のまったく違う人間に変えてしまった。やさしく温厚で軍人の鑑みたいだった男が、悪夢にさいなまれ、気がすさみ、妻と弟との浮気を疑い、そしてそれは事実になってしまう…。

 うーーーん、どうしても「今頃気がついたの?」って書きたくなってしまうんだよねー。彼が経験するのは、軍人としては当たり前のことなのに。それを知らないで軍隊に入ってしまった、ということ?
 でもきっと多くの軍人はそうなのかもしれない。っていうか、そうじゃないと軍隊なんか入れない? っていうか、両方の世界を知れた彼だからこそ、このようなドラマの主人公になれる?(軍人は「絶対死なない軍人」と「死ぬために雇われた軍人」に分かれている。昔はそうでもなかったみたいだけど)。
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by ropponguimovie | 2008-02-11 17:10 |

アヴリルの恋

 主人公アヴリル(ソフィー・キートン)が、なんてかわいい! 脱ぐシーンがあるのだけど、むっちり太っているのも素敵だ。

 主人公アヴリルは、赤ん坊のときに修道院の前に捨てられ、修道女となるべくそこで育てられてきた。21歳となったとき、彼女は先輩の修道女から、「あなたには本当は双子の兄がいる」と告げられる。
 本当は修道女になる前、聖堂にこもって一人きりで2週間の「行」をしなければならないのだが、先輩の修道女の「私がなんとかしておいてあげるから、そのあいだに行っていらっしゃい」というサポートを得て、彼女は兄を探す旅に出る。

 この映画は構成がきっちりしていて、この修道女や厳格な修道院長のあいだに、過去に何があったのか、どんでん返しが用意されている。
 
 自分の私物を土に埋め、名前も変えて修道女になる、という儀式。本当は絵の才能があるのだが、それを伸ばすことは最初からあきらめているアヴリル。双子の兄とフランクな恋人(男)。しっかりした構成と、「あ、素敵だな」と思わせる小道具との組み合わせがにくかったです。
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by ropponguimovie | 2008-02-11 16:55 |

中国植物学者の娘たち

なんか、今頃更新してますが、
資料整理のため、記録を残しています。

 ダイ・ジージェ監督、ずるいなあ、と私はよく思う。政府給費留学生としてパリに渡って以来、彼はフランスを生活の拠点にするわけだが、その遠いフランスから見た中国、というのを、彼は自由自在に捻じ曲げる。その捻じ曲げは、美しい場合もあるし、真実をついている場合もあるし、いたずらに挑発的である場合もある。中国政府、怒るだろうなあ、と、私は納得できる。

 この映画では、本当に彼は「やりたいようにやってるなあ」と思う。中国=自由の禁じられた国、という命題を、彼は、許されざる同性愛というモチーフをもって描いた。
 中国でロミジュリを演じるこの二人の女性が、それはそれは美しいのだ。チェン・アンを演じるリー・シャオランは、中国の女優の多くがそうであるように、舞踏によって鍛えられたからだの持ち主だし、中国とフランスの地を引くミレーヌ・ジャンパノワもマルチ・レイシャル独特の美しさ。
 そして、ふたりを取り巻く環境もあまりに美しい。女性のひとりチェン・アンは植物学者の娘であり、小さな離れ小島(島全体が薬草園)という環境で、隔絶されて暮らしている。そこでは緑が意思をもって、ふたりの愛を見守り、守る。新井素子が10代で書いた小説『グリーン・レクイエム』を思い出した。

 エロいのです。レズの話だから。それだけ見に行くだけの価値はある。美しいエロス、つまり、これはファンタジーです。それなのに、みょーに中国政府を刺激している。まるでこれが事実だといっているように見える。これがこの監督のずるさだけど、もちろんそれは物語をさらに美しくするために機能している。
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by ropponguimovie | 2008-02-11 16:45 |