今週、いちばん癒せる映画 vol.22『ゲゲゲの鬼太郎』

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 今週のオススメは…
 大本命の『バベル』を抜いて『ゲゲゲの鬼太郎』、そして『ストリングス』も捨てがたいので、またまた2本発行することにします。
 
 あー、またまたサービス満点のメルマガ(笑)
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 忘れてた! 今週は『スパイダーマン3』もあるんだけど、これは日本での公開の方が早いので、今アメリカにいる私は5月4日まで見られません。だからこれは除外。


 さて、『ゲゲゲの鬼太郎』なんですが…。
 脚本がものすごくよくできてます。(旅先なので手元に資料がないんですが、2年ぐらいかかったらしい)。
 そしてこの映画、世界を揺るがしたブロックバスターの脚本パターンを、きれいに踏襲しています。


 その映画というのは…。何を隠そう、『タイタニック』。


 「自由で背負う者のない王子様が、背負うものだらけでがんじがらめのお姫様を助け、彼女の記憶に生き続けて去っていく…」


 というパターン。


 あれ? これ、もう一つ前例があるぞ?


「自由で背負う者のない永遠の少年が、背負うものだらけですっかりせちがらくなった少女と冒険をし、
 彼女の記憶に残って去っていく…」


『ピーターパン』だ、ピーターパン。


 『ゲゲゲの鬼太郎』は、観客の中でも「弟のいる長女さん」のツボをひときわつく映画かもしれません。
 今回の映画のヒロイン(井上真央が演じてます)と、『ゲゲゲの鬼太郎』のウェンディには小さな弟がいる、親があんまり頼りにならない、という共通点があります。
 『タイタニック』のローズには弟はいませんが、母親が娘に依存していて家族の運命を背負っています。


 男の子(boy)が小さいときから家族の運命を背負った場合、小さいときから男(man)になることを強いられます。
 しかし、女の子(girl)が小さいときから家族の運命を背負うと、こちらも男(man)になってしまうのですね。
 小さいときから女郎に売られた少女の物語(『さくらん』が良い例)が、成功女郎の道を進み始めると、それは、「男から愛される」ではなく「男に愛させる」話になってしまうのはそのせいだと思います。
 

 『ゲゲゲの鬼太郎』のヒロイン(すみません、資料が手元になくて名前がわかりません)は、早く母親をなくし(早く母親役をやると現実的になる)、父親まで原因不明の病気で死んでしまい、残されたのは小さな弟のみ。そのうえ外国から帰ってきた得体のしれない親戚のおじさんが、自分たちを狙っている気がする。。。
 すっかり現実的になって当たり前。


 そんなとき、ふと彼女を助ける役回りになるのが、霊界の貴公子、ウエンツ瑛士演じる鬼太郎なのです。


 ここで、ウエンツ瑛士が本当にすばらしいです。
 何が素晴しいって? あの顔ですよ、顔!
 だって、他の妖怪達は(間寛平を筆頭に、中村獅童、西田敏行、室井滋、大泉洋といったアクの強い面)特殊メイクしてるのにウェンツだけ「素」なんですよ! つまり彼の場合だけ、「美しいことが異形」だというわけです。
 この「美しいことが妖しいこと」という名に恥じなかったのは、最近では、『ニュースの天才』のヘイデン・クリステンセンぐらいじゃないでしょうか。ウェンツの演技力をあれこれいう人もいるみたいですが、じゃあ、他の顔を挿げ替えてみろ、許さないぞ! っていう感じ。


 そういえば、『タイタニック』のときのレオナルド・ディカプリオも、本当に美しかったですよねー。あのタキシードを着た晩餐会のシーンでは、息を呑みませんでしたか?
 この、「現実離れした美しさ」=花、は、本当は、女の子が女になるときに、自分で身に着けていかなければいけないのですが、もちろん、ウェンディ型の苦労人の女の子には、そんなもの身につくはずがありません。
 反対に、ウェンツや『タイタニック』の頃のディカプリオや、『ニュースの天才』のヘイデンたちは、少年(boy)ではないのですが、男が成熟し、社会的責任を背負うすにしたがって身に着けていく「傷」「苦味」「渋み」みたいなものがないのです。だからこそ彼らは「異形」なのですが、少年ではないのに「女」womanになってしまったような華やかさを身に着けているわけです。


 『ピーターパン』『タイタニック』『ゲゲゲの鬼太郎』型の物語は、ミツバチが花に花粉を運ぶように、ヒーロー達が、このままでは女として人生を謳歌できずに散ってしまいそうなヒロインに、自分の花粉を分けてやる話、ということができます。
 ヒロイン達は、自分の人生が秘めている可能性に気がつき、自分の感覚をより開かせ、自分の人生を思いっきり生き始めます。


 しかしそのとき、男であって男でないヒーロー達は、ヒロインと結ばれる運命を放棄しなければいけない壁にぶちあたります。社会的責任を負わないと男は、物語のうえでは、男ではありません。それを背負わない者は「現実社会で男として認められる」という通過儀礼を受けられないのですね。


 しかしだからこそ、彼らは、ヒロインの心の中で永遠に生き続けます。


 ここに、男の観客の泣きどころもあるかもしれません。なぜなら、現実の男は、ピーターパンやジャック君やゲゲゲの鬼太郎と違って、「社会的責任を背負う」という通過儀礼を通過して、今、この場所に存在するからです。ウェンディやローズと結ばれることはできませんが、あなたの隣りには現実の生活を共にする伴侶がいて、ふたりの間に生まれたかわいい子どももいることでしょう。
 その甘酸っぱいギャップに浸ってください。


 ところで、冒頭に、昔なつかしの『ゲゲゲの鬼太郎』のテーマソングが流れるのですが、
「楽しいな、楽しいな♪」のあとが、「オバケにや学校も、試験も何にもない」じゃなくて
「オバケにゃ会社も、仕事も何にもない」に歌詞が変わってました。
 うーむ、社会人に訴えてるな~。そう、社会的責任を背負ってる社会人に。


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「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.22  発行47部
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2007.4.27 発行
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今週、いちばん癒せる映画 vol.21『リンガー!★替え玉選手権』

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今週、いちばん癒せる映画 vol.21『リンガー!★替え玉選手権』

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 今週おすすめの映画、2本目。『リンガー!★替え玉選手権』


 ところで、マリナ・デル・レイ生活も3週目に入りました。
 どうして映画の英語はあんなに難しいんだろう? 今週も1本新作を見ましたが、10パーセントもわかんなかった…。


 さて、『リンガー!★替え玉選手権』の監督は『星の王子ニューヨークに行く』の脚本家ですが監督としてはデビュー作となるバリー・W・ブラウスタイン。が、この映画を終始リードしていたのは、製作のファレリー兄弟といっていいのではないでしょうか。
 彼らには、障がいをもつ親友がいて、彼らにも楽しんでもらいたい、という映画作りがいつも信条です。『メリーに首ったけ』のヒロイン・メリーにも障がいを持つ弟が出てきますし、その友人本人は、『ふたりはクギづけ!』でかなり重要な役どころで出演してました。
 しかしこの映画もぶっとんでる…。自分の殻が破れずうだつがあがらずにいる男が、それゆえに現金を作る必要ができてしまい、障がい者のふりをして、「スペシャル・オリンピックス」にエントリーするという話。競争相手は知的障がいがあるんだから簡単に勝てるだろう、それを、困った叔父貴が賭け事のタネにしていて、このギャンブルで一気に現金を稼ごう、というのです。


 宣伝会社の人が「日本のスペシャルオリンピックス関係者に協力を依頼したがうまくいかなかった」といってましたが、たしかに日本の認知度とアメリカの認知度は違いますから、日本関係者のとまどいも理解できないでもありません。日本のスペシャルオリンピックスをとった映画「エイブル」とは、あまりに毛色が違いすぎますもの…「エイブル」シリーズはそれはそれで名作ですけどね)
 スペシャルオリンピックス日本の公式見解はこちら。↓
http://www.son.or.jp/sys/index.php?mo=topics&ac=TopicsDetail&topics_id=87


 しかし、この「スペシャル」というところに、この映画のテーマが凝縮しています。


 映画は、「成功サラリーマン」になれない主人公・スティーブが、「俺はもう負け犬じゃない、俺はもう負け犬じゃない……、もう負け犬じゃないんだあ!」と、つぶやきから絶叫にいたるシーンから始まります。何をやってるかというと、彼は「キレるサラリーマン」になりたくて、職場の自分の席でイヤホンを使って自己啓発CDを一生懸命聞いているのですね。ところが、このCDを聞くことによって、彼は、「自分ではない何者か」になろうとしてしまっている。きっと、彼を「うだつのあがらないサラリーマン」にしていた自分の中の力こそ、「本当の自分であろうとする心の声」だったのでしょう。だって、彼は、その時点ですでにとても心のやさしい男だったのですから。


 そういえば、アメリカって自己啓発の本、いっぱい売ってるんだろーなー、と思って書店に行ってみましたら、それはもうすごかった(笑)。英語でself improvement っていうのですが、ものすごい場所をとっています。
 さらに「へえっ」と驚かされたのは、フェデックス・キンコス(出力サービスだけでなく、文房具も売っている)をのぞいてみたら、かなりいい場所に「自己啓発CD」の陳列台があったこと。封筒だのポストイットだの買うついでに、こういうのも買ってるのかなーと思うと、なんか笑ってしまう(でも自分も買いそう(汗))

 
 しかし、スペシャル・オリンピックス・アスリートの中に投げ込まれて彼がもっとも目の当たりにするのは、「みんな、とにかくひとりひとり違うんだ」ってことなんです。結構いじわるなヤツもいるし(笑)。いいたいこともちゃんと主張する。当たり前のことなんですけど。


 人間の成長の過程として、「それは個人の責任」というのが見えてくる、というのがあると思います。自分の選択とその結果は、家族のせい、とか、世代のせい、とか、障がいのせい、というのではなくて、それに対する反応は最終的には個体差なのだ、ということ。それが、「知的障がいはないけど、でも、健常者、と、ひとくくりにできないひとりの(彼なりの問題を抱えた)ボク」という主人公を、映画のシチュエーションは浮き彫りにしてくれるのです。


 それにしても、この、絶妙の笑いの感覚。いくら「特別扱いしない」といっても、この企画は絶対にファレリー兄弟じゃないとできないなあ。今回も感服です。大ファンです。

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「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.21  発行46部
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2007.4.20 発行
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# by ropponguimovie | 2007-04-20 13:50

今週、いちばん癒せる映画 vol.20『ハンニバル・ライジング』


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今週、いちばん癒せる映画 vol.20『ハンニバル・ライジング』

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 先週予告しましたように、今週はおすすめの癒せる映画が2本ありますので、2本発行します。
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 さて、「ハンニバル・ライジング」。キーワードは「日本」だ、というのが宣伝文句になっていますが、その点と、ハンニバルがいかにして人の肉を食うようになったか、という動機とは、ちょっと距離がある感じ。それより、レクター家がリトアニアの旧貴族で、第二次大戦中(彼は10歳ぐらいの少年)に、ドイツ軍にいかにひどい目に合わされたか、とくに、妹をいかにひどいやり方で殺されたか、というあたりに、スタッフ渾身(?)のアイディアを感じます。


 映画でも現実でも、「弱者に対する最大の犯罪」というのは、「幼い女の子を強姦して、殺す」だと思っていたのですが、この映画では、それを上回るすごい犯罪が行われてしまいます。さすが「ハンニバル・シリーズ」というか、よくもこういうこと考えつくもんだ、と、口あんぐり、というか…。
 その復讐心から、若き、そして美しきハンニバルは、この元ドイツ兵達を探して一人ずつ殺し、その肉を食らっていく、という手段に出るのです…。


 ちょっと、個人的体験になるのですが、この試写を見る数日前、ある自己啓発セミナー講師のテープをいくつか聞いていました。セミナー講師にもいろいろなタイプがいますが、その人は強烈はカリスマ性をもつとともに「愛」という言葉を頻繁に使うタイプの人でした。また、彼のセミナーを受けて、人間関係が劇的に良くなった、という人もとても多いようです。


 ところが、この映画を見ていたら、そのセミナー講師とハンニバル・レクターが妙に重なって重なって、なんだか困ってしまったのです。あんなに「愛」を訴えている人なのに、変だなあ。


 でも、私は、その方が、納得できる気もしたのです。
 なんか、人間がもっている「放出しないと本人が苦しくなってしまうエネルギー」って、どっちの方向に出ても一緒じゃないかしら。ある人から見れば「愛」に見えるし、別の面から見れば「悪魔」に見える。ただ、そのエネルギーの一直線さが、人をひきつけているのではないかしら、って。


 そういえば、自己啓発では、「言霊」の力を利用して、「自分の将来像を言葉にしなさい」といわれることが多いようです。たとえば、「私は、3年以内に1億円手にします」とか。
 それは、結構効果のある方法だと思うのですが(実は私も私の目標を手帳に書いたりみんなに宣言していますよ、うふふ)でも、「愛」という言葉だけは、軽々しく口にすると、私にはどうしても、愛が逃げるように思ってしまうのです。「言霊」って日本的な考え方ですが、こればっかりは、別の日本的考え方、「秘すれば花」のような気がしてしまうのですよね。


 ハンニバルのように、あるいはまた「愛」を語る人のように、エネルギーを放出して歩いている人は、「人が動物でなく人間である証し」を自ら示して歩いている人のように思えます。私はだから彼らに対してこれからも同じような目を向けてしまうだろうし、そして…。自分の中であんなふうに勢い良く放出できず、くすぶっているエネルギーを、どんな形で放出しようかしら? 


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今週、いちばん癒せる映画 vol.19『ツォツィ』



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 予告どおり、今週は、『クイーン』と並んで、2006年アカデミー外国映画賞をとった『ツォツィ』を紹介することにします。
 ちなみに今週、『東京タワー オカンと僕とときどき、オトン』も公開されるのですが、私は見ていません。


 さて、ツォツィ。


 ひとことでいうと。。。「アフリカの『ごんぎつね』」


「ごんよ、おまえだったのか、いつも栗をくれたのは…」


 このセリフを聞いただけで、号泣してしまえる人は、必見の作品。


 日本語で「ごん」と呼ばれたら、「やんちゃ」というニュアンスが強いのですが、この「ツォツィ」も、やんちゃ、という意味です。


 人種隔離政策が崩壊した南アフリカですが、今度は同じ黒人の間に、すさまじい経済格差が広がっています。欧米の高級住宅地(ガラスばりのリビング、モダンな家具、セキュリティシステム)にヨーロッパの車とともに住む層、今もスラムのバラックから抜けられず、金を稼ぐ手段は「強盗」しかない層…。ツォツィとあだなされたこの少年は、この「強盗」側の少年で、仲間と一緒に、裕福な黒人一家から、BMWを強奪します。
 ところが、車を走らせて逃走、追っ手はもう来ない、強盗大成功…と思ったツォツィは、愕然とします。


 後部座席から聞こえてきたのは…


 赤ん坊の泣き声!


 大人になりきれない男が、赤ん坊を抱えてしまって自分の成長をせまられていく作品は、数限りなくありますが、このツォツィは出色です。ツォツィ自身が育った環境が、あまりにも苛酷だからです。赤ん坊のオムツを替えようとして、彼は、家の中にあったくしゃくしゃの新聞紙かなんかでそれを代用しようとするのですが、もしかしたら、彼自身もそうやって育てられたのかもしれない、ということがそこから伝わってきてしまいます。
 愛を与えられなかった少年が、なけなしの愛をはたいて子どものために何かしてやろう、という姿が、涙を誘います。
(うう、このメルマガも18号目を迎えましたが、書きながら泣けてきたのは初めてだ…)。


 子どもを返したいのですが、困った事態が生じます。ツォツィは子どもに情が移ってしまい、返したくなくなる。そのため、かえってツォツィはあらぬ疑いをかけられるようになります。「営利目的で子どもを誘拐したのではないか」「子どもに危害を加えるつもりではないか」…。


 ツォツィは子どもの将来を考え、一大決心をして、金持ちの家に子どもを返しに行きますが、そこには彼に銃を構える警察が…。さて、どうなるのか? ツォツィはごんぎつねと同じように、誤解されたまま殺されてしまうのか?


 宣伝会社の方から伺ったのですが、この映画のラストに関しては、製作サイドも最後まで迷って、結局3種類のラストを用意したのだそうです。さて、その3種類の中から選ばれたラストはどれか?


 これはぜひぜひぜひ、ご自身の目でお確かめください。


 最後にいいますが、これは、「ごんぎつね」ですよ、「ごんぎつね」。
 あの涙に弱い人は、映画館で号泣してください。

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「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.19  発行43部
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今週、いちばん癒せる映画 vol.18『クイーン』

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 ロサンゼルス近郊、マリナ・デル・レイからお送りするメルマガ2週目です。
 とてもいいところなのですが、郊外にいると、映画館が遠く感じます。自分に車があれば10分ぐらいで行けるのですが、バスを使うと30分ぐらいかかってしまいます。また、前回滞在したクリスマス・シーズンはアカデミー賞レースの作品が目白押しだったのですが、今回は自分の情報不足もあり(英語で面白そうかどうか判断するしかない)これは! という作品にまだ出会えないでいます。(1本だけ前情報なく見た映画が、これがもう見事な駄作でした…)


 さて、今週の「癒せる映画」、オススメが2本あります。プリンセス・ダイアナの死後72時間、イギリスの女王と労働党党首の首相との不思議な交流を描いた映画、『クイーン』。そして、2006年のアカデミー賞外国映画賞『ツォツィ』。
 1本、来週に送ろうかな~と思ったんですが、来週もまた、『リンガー! 替え玉選手権』と『ハンニバル・ライジング』の2本もある。。。。


 仕方がないので、今週、2本書きます(笑)
 執筆生活をかの地で楽しんでいますのでね。


 これはほんとに、アイディアの勝利ですねー。10年前のダイアナ元皇太子妃がなくなった日、世界中から「意地悪姑」の視線を浴びてそれでも立っていた女王エリザベス2世。その彼女の孤立と、長年にわたるサッチャー政権の後労働党から首相に就任した若き労働党の党首にせまられる選択。(これが保守党だったらここまで面白くなかったでしょう)女と男、貴族と労働者、老人と若者、いくつもの対立構造があって、非常に質の高い緊張感が持続する120分となっています。


 さて、映画というのは、宣伝活動のために、公開日が近づくと、公開試写会をやったり、タレントを招いてトークショーをやったり、いろいろなことをするんですが、この映画のキャンペーンを取材した娯楽系の記事を見て、一瞬がっかりしてしまいました。スポットが当たっているのは主人公のふたりではなく、ダイアナ妃の映画、みたいに聞こえるからです。
http://news.goo.ne.jp/article/mycom/business/20070412-03-mycom.html


 しかし…、よく考えてみると、「ダイアナ妃」という不世出のアイドル、不世出の考えなし、不世出の不思議ちゃん(失礼?)、そして不世出の美人、だったからこそ、美人、というような天然資源(??)を持たず、才覚だけで「思惑」の中に生きなければいけなかったふたりがさらにひきたつわけです。


 他の映画批評家の方の評論で、「この映画は、イギリスがいかに頑張ったか、というプロパガンダだ」というのも読んだのですが、私は、そういうふうに感じませんでした。
 なぜなら、この映画の面白さは、エリザベス女王、労働党首トニー・ブレア、どちらも、少し舵取りを間違えれば、自分たちの立場が危うくなることを、隠さずに描いているからです。


 イギリス王室と日本の皇室の違うところは、ちょっとでもイギリス王室が自分たちの意向と違うことをすれば、王室廃絶、共和制への世論がすぐに沸きあがることです。日本の皇室にそれが起こらないのは、日本の皇室の方々がイギリス王室と違って常に国民を愛し、愛される行動をとっているからだ…という主張もあるかもしれませんが、日本よりイギリスの方が、ずっと、「イギリス王室は国民との契約の元に存続している」という感覚がずっと強いと思います。名誉革命によって正確なネタモトが検索できなかったので明言を控えますが、イギリスの世論調査で、「次のイギリスの王室を継ぐのは誰だと思いますか?」という質問をしたら、「王室はその頃なくなっている」という答えが、「チャールズ皇太子」や「ウィリアム王子」を超えてしまった、という記事を読んだ記憶があります。
 同時に、イギリスの君主は、天皇よりずっと強い権限をもっており、国会や内閣が機能しなかった場合には、適切なアドバイスを元に(誰に助言を求めるか、自分で決めないといけない)、国のゆくえをたった一人で決めなければいけません。エリザベス2世は、26歳でこの地位についた、ダイアナ妃より、雅子妃より、ずっとずっと重荷を背負った王族なのです。
 こちらを参考にしました。
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20050215A/index3.htm


 この映画の中でも、「イギリス王室の伝統」を重んじて初期の対応が裏目に出たイギリス王室は、国民からどんどん嫌われていく姿が痛々しく描かれています。おまけに、母親のエリザベス皇太后や夫のフィリップ殿下は、この問題に対して「悪いのはダイアナ、わかってないのは国民」の態度を貫いていて、おまけに息子はダブルスタンダード(ダイアナには子どもの母親だから弔意を示すが、愛人との不倫をやめたわけではない)、完全に孤独です。


 一方の新首相、トニー・ブレアも、せっかく選挙で奪い返した与党の地位を、どう保つか。彼の妻は王室廃絶派であることを
隠しませんし、労働党というのは基本的には格差否定の党。ところが、女王の孤独に向きあううち、彼はこの地位に乗じて国民とともに王室を批判するわけにはいかなくなってくるのです。そして、彼女に国民の意向をくむように進言したことが(それは、党利党略とはむしろ反対なのですが)結果的に彼の支持率を上昇させるのです。

 エリザベス女王、ブレア、ふたりの俳優は好演なのですが、ふたりともダイアナと違って、「スター」としてのカリスマ性が、スクリーンを見ていても全然ない演じ方をしています。そのふたりの苦悩にだんだん共感し、同じ人間としての悩みを共有できるところに、この映画の癒しがあるように思います。

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今週、いちばん癒せる映画! vol.17 『ブラッド・ダイアモンド』


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 ところで私、ただいまロサンゼルス近郊のマリナ・デル・レイというところにいます。
 最低1ヶ月、へたすると2ヶ月ぐらいアメリカにいる予定です。2ヶ月も留守して、東京に戻ったら果たして映画評論家として執筆できる媒体があるのか謎なのですが、文章修行ということで、思い切って来ています(ほとんど外出もせず、日本語の本を読み、書き物をしています)。
 昨年末ハリウッドに滞在したときは毎日のように映画を見ていたのですが、今回は、ちょっとそうもいかないようです(2マイルぐらいあり、遠い)。しかし、週末になったら、ぜひ、こちらかサンタモニカまで見に行こうと思います。


 さてさて、今週オススメの1本は、昨年末初めてアメリカに滞在したときにハリウッドで見た、『ブラッド・ダイヤモンド』です。


 私の英語力は、「流暢」というには程遠いので、この映画も、完璧にはわかっていなくて、日本に帰ってきてから他の評論家の方のサイトを見たら、「ああ~、ここわかってなかった」ということがたくさんあって、ちょっとがっくしきてます。
 例えば、レオナルド・ディカプリオ演じる主人公アーチャーの出身地が、私は「南アフリカ」だと思っていたのですが、字幕付きによると「ローデシア(現在のジンバブエ)」だといっているそうです。ローデシアはダイヤ利権に絡んだ人種隔離国家ですが、南アフリカよりさらに一層複雑な歴史をもっている国で、その国で生まれ育ったアーチャーが、「人生カネ、人生ダイヤ」になってしまった背景は、さらにいっそう複雑であろうと予測されます。

 
 しかしながら、不完全な英語で見たほうが、良かった、と思うことも、いくつもあります。
一つは、細かいことがわからないので、かえって、物語の大きな骨格にしっかりとフォーカスが当たるということ。もう一つは、英語で見て、決して全部理解できていなかったのに、ちゃんと泣いたこと。字幕がなくても、かえって、残った五感で感情がダイレクトに伝わる楽しさ、というものを体験しました。さらに、終わった後、他の観客と一緒に、拍手までしました。これも、忘れられない体験です。


 さて、なぜ、私と観客は映画に泣いたのか? 拍手までしたのか?


 ここに、もちろん、この映画の「癒し」のポイントがあります。
 ついでに、『タイタニック』では無視されたレオ様が、今回本作でオスカーにノミネートされたポイントも。


 読者の皆様は「英雄(ヒーロー)」の定義をご存知でしょうか? 「英雄」というのは、「強い」「勇敢」というのが必要十分条件ではないのですね。英雄は実は「犠牲」を伴わないといけないのです。『タイタニック』のジャック君も、自分の人生を十分に生きて、最後は、それと同じ充実感をローズに味わってほしくて自分を犠牲にするから、英雄になりえるのです。


 今回、レオが演じるアーチャーも、最後に、ある、犠牲的選択をします。
 しかし、『タイタニック』のジャックと違うのは、アーチャーが、物語の最初はかなり自己中心的なヤツ、いわゆるアンチ・ヒーローであることです。
 アーチャーは紛争ダイヤの売人で、それが自分をアフリカ大陸(どうやらそこで生まれた運命を受け入れられないらしい)を脱出させてくれると固く信じています。
 途中、ジャーナリストのマディ(ジェニファー・コネリー)と出会いますが、「紛争ダイヤをなくしたいんなら、俺たちを告発するんじゃなくって、婚約のときにステキなダイヤをもらいたくてはしゃいでるお気楽娘たちを戒めろよ(多分そういった)」みたいなことをいったりします。


 しかし、最後に彼は変わるわけです。変わって自分を犠牲にすることを選ぶのです。
 そのダイナミックな変化に、つい、ぼろっときちゃうから、(しかも細かいことわかんなかったから?)思いっきり、拍手なんかしちゃったわけです。


 『タイタニック』はステキなお話でしたが、主人公にのみ焦点を当てると、彼の人格的な変化が小さい、という指摘が否めません。最初からいい子ちゃんなんですよね、ジャック君は。当時のディカプリオは、容姿がもっとも「王子様的」だったとき、つまりキャラが現実離れしていて、だからこそ「様」がついて呼ばれるようになってしまったのではないでしょうか。子役時代の彼の方が、当時よりはむしろ人間の葛藤を表現する役を演じていましたから。


 しかし、今回の彼は、風貌が実にふてぶてしい(笑)。レオに、もう「様」をつけることはできません。それは、彼はもう、『タイタニック』のジャック君のような、浮世離れした王子様じゃないからです。最近の彼はあごの周りに肉がついてきましたし、眉間にもしわが寄ってきましたが、そこがいい。俳優として、一段違うステップに上がった気がします。
 そして今回の「大きな人格的変化のある役」の方が、オスカーとしても評価しがいがあるように思います。


 彼とからむ、ジェニファー・コネリー、そして、ジャイモン・フンスーもとてもいいです。ジェニファーは、信念はあるものの、とても冷静で、行動力のある女性ジャーナリストを演じています。ジャイモンは、反政府軍RUFの少年兵として拉致されてしまった息子をとりかえしたい猟師の役を演じていますが、ドラッグを使って洗脳されている息子(だから、父親だとわからず、彼に銃を向けてしまう)に、父親の情愛を示して語りかけるシーンも、ほろりときます。


*******************************
「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.17  発行43部
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2007.4.6 発行
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# by ropponguimovie | 2007-04-06 16:40

今週、いちばん癒せる映画vol.15『ホリデイ』

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 今週は…。


『アルゼンチンババア』『ひいろ』『ユアン少年と小さな英雄』なども悪くないですが、
 個人的体験と重ねて(笑)『ホリデイ』にしました。


 実はこの映画、昨年のクリスマスに単身LAを訪れたとき、ちょうど公開中でした(これはクリスマス映画なのです、今日本でやるのは、ちょっと損です)
 

 そのときには見ないで、日本に帰ってきてプレス試写室で見て、「あー、ロスで見ないでよかった」と思った。


 なにしろ、恋人にふられてクリスマスに楽しい予定のない女性ふたり(イギリス人とアメリカ人)が、クリスマス期間中、家を交換し合う、というお話。ひとりで見たら、いたかったろーなー(笑)。


 しかも、キャメロン・ディアスはハリウッドで成功している映画編集者(ベルエアあたりに立派な自宅軒オフィスをもっている)なので、出てくる風景も妙にだぶる…。とほほ。。。


 さて、この映画で興味深いのは、「ハウス・エクスチェンジ」といって、家ごと交換してしまう、というシステムです。いったい、「貴重品とかどこにしまうんだろう?」その前に、「ちらかった家を他人に見せるなんて!」とびっくりしてしまうのですが、他の映画評論家の方のサイトによると、欧米ではとてもポピュラーな習慣で、インターネットができてからは、ますます盛んなのそうです。


 古典の物語に「都会のねずみと田舎のねずみ」というのがありますが、この映画でも、主人公のふたり(キャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレット)は、家を入れ替えるだけでなく、人生すべてがとっかえされてしまいます。そして、その結果、もしもこのようなシチュエーションでなければ決してステキには見えなかった「ごく普通の男性」たちと恋愛をしていく。
 片方は見た目はクールじゃないけど、気さくな男性(ジャック・ブラック)。もう一人は、見た目は超クールだけど、シングル・パパ(ジュード・ロウ)。その相手は「王子様」ではない。だからこそ、見ていて「地に足のついた恋愛」という安心感があります。
 まあ、ジュード・ロウの容貌をして「ごく普通の男性」というのは無理がありますが…(笑)

 
 イギリスの片田舎からやってきたケイト・ウィンスレットの友人になる、リタイアが近づいたハリウッドの老脚本家、も、いい味です。こんなふうに、この映画では、ハリウッドの映画の製作者(俳優ではなく)たちの生活が描かれていて、その点も興味深いです。


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「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.15  発行35部
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2007.3.23 発行
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# by ropponguimovie | 2007-03-25 11:45

今週、いちばん癒せる映画vol.14『デジャヴ』

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 今週のイチオシ映画は、トニー・スコット監督の最新作『デジャヴ』です。
 この映画は、試写室では、かなり評判がよく、1回満席で入れませんでした。
 他に今週は、『フランシスコの二人の息子』もおすすめです。

 さて、『デジャヴ』の監督はトニー・スコット、製作はジェリー・ブラッカイマー、主演はデンゼル・ワシントン。
 意外でしょ、ジェリー・ブラッカイマーの映画で癒せるなんて(笑)。
 しかし、冒頭でも書きましたが、試写室はとても盛り上がっていて、見た後のカタルシス(=こころの浄化作用)が見た人の間で共有される気持ちよさがありました。映画の法則に従って、丁寧に映画を作ると、すごい癒し感が得られるという好例だと思いました。

 デンゼル・ワシントンが演じるのは、軍事学校の卒業式の船を爆破されたテロ事件を担当する捜査官。しかし、捜査を進めていくうちに、彼は不思議な現象=deja vu (今までに見たことがあるような感覚)に遭遇していきます。やがて彼は、FBIとの協力によって、過去の姿を映し出せる装置を使うことができるようになります。そして彼は最後、テロを予防するため、この装置を使って、自ら過去に飛び込んでいきます。
 
 さて、wikipedia日本版のジェリー・ブラッカイマーの項を読むと、このように書いてあります。

【彼の製作した映画のほとんどは、単純な筋書きや凝った特殊効果の導入による派手なアクション、大ヒットしているポップ・ミュージックを起用したサウンドトラック、ありえないほどテレビ映りのよい俳優たちの起用を特徴としている。このため彼の映画は派手なオープニングと見た目のわりに無内容だとして全米の映画評論家からは酷評されているが、アメリカだけでなく世界で多くの観客を集め、収益的には大きな成功を収めている】

 もう、けちょんけちょん(笑)。

 しかし、彼の映画の、ここに書いていない大きな特徴は「犠牲」をうまく扱っているということだと思います。
『アルマゲドン』を筆頭として、『ヴェロニカ・ゲリン』『パール・ハーバー』『トップ・ガン』『キング・アーサー』などは、犠牲の痛みをともなう映画です。

 「英雄の定義」って何かご存知ですか。英雄というのは「自分を犠牲にする」ということが必要条件なんです。(現実にそう、ということより、「物語の中の英雄の定義」と考えてください)。それは美しく、悲しく、信念があり、誰もができないけど誰もが一度は憧れる生き方です。ジェリーはそれを生き方の信念ではなく、「エンタテインメント」「ヒット映画の法則」として作っているように感じるから、叩かれちゃうんですけど(笑)

 本作『デジャヴ』も、(ネタバレ禁止令が出ているのであまり詳しくかけませんが)、結末近く、主人公は、大きな自己犠牲を伴う選択をします。しかし、そこにはそのリスクを払ったことを上回る、大きな宝物を得て物語りは完結することになります。
 この「何かを捨てて、違う宝を得る」というこころの作業が人間には気持ちいいのです。
 今回は、その機能が、ものすごくうまくいってます。(『アルマゲドン』とか『パール・ハーバー』みたいにわざとらしくないんですよ)。デンゼル・ワシントン演じる誠実な刑事に見る人はみな、感情移入するし、彼がある犠牲的な行動をしたときには皆、ものすごい痛みを伴う。そのあと、あっという展開が起こる。
 映画というのは多かれ少なかれみなこういう展開をたどるのですが、そこにダイナミックなストーリー構築や、彼とトニー・スコットお得意の大仕掛けがふんだんに盛り込まれているので、動かされる感情の幅も大きいのです。とても満足感があります。
 
 ちなみにもう一つ、ジェリー・ブラッカイマーは時代を読むのがうまいなあと思わされるところは、この船を爆破したテロリストの正体が、当然ながら(?)、イスラム系なんかではない、と、きっちり示しているところです。最初に爆破された船はアメリカ軍人が多数乗っていたので、最初は、そういう犯人像なの? と観客に疑わせておいて、やっぱり違う、という方向に持っていく演出もさすがです。何かにおびえた、世界の閉じた、周囲から見ると特にハンディキャップを背負っているようには見えない人間。そういう人間が、テロを起こすんだっていうことを、ジェリーはさらりと入れています。

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「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.14  発行32部
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2007.3.9 発行
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# by ropponguimovie | 2007-03-25 11:42

今週、いちばん癒せる映画vol.13『パラダイス・ナウ』他

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 今週は、他の週だったらイチオシ! という映画がたくさんあって、
評論家泣かせの週です。
『約束の旅路』『ラストキング・オブ・スコットランド』『サン・ジャックへの道』『絶対の愛』…

 そのうち、『約束の旅路』は、こちらに感想を書いていますので、よかったら見てください。
http://rmovie.exblog.jp/5936134/

 さて、今回の1本として選んだ『パラダイス・ナウ』、実は一昨日見た、すべりこみでした。

 なかなか時間が取れなかったのですが、ずっと気になっていました。
 試写状が、とても印象的だったのです。

 http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD10285/index.html

 こちらの写真を見ていただくとわかると思うのですが、『モッズ』っぽいというか、1997年のダニー・ボイル監督の名作、『とレインスポッティング』を思い出させますね。ちょっと、虚無的というか、生きること投げちゃってるというか。

 ところが、彼らは虚無的どころではないのです。「虚無」って、生きることが保証された環境の中で「生きることがむなしい」とかいってるから「虚無」なわけでしょ。ところがこのふたりはそもそも生きることが保証されていない。実は、この、ちょっとオシャレで、しかもハンサム(だ、と、私は思う)な二人が、実は自爆テロリストなのです。
 彼らが頭を丸め、ひげをそっているのは、ユダヤ教徒(っぽくも見えないけど、無宗教風? とにかくイスラム教徒に見えないようにする)として敵地に乗り込むため。このスーツの中に、腹巻みたいにぐるぐる巻きにした爆弾を巻きつけています。

 途中、恋人が出てきますが、彼女もとてもきれい。ヨルダンはイスラム国の中でも服装がそんなに厳しい国ではないので、彼女は髪を隠していないし、ボタンを二つあけたブラウス姿。途中、彼らの行為を敢然ととめようとする姿は、とてもりりしくてカッコイイ。「女性らしさの枠の中に押し込められたイスラム女性」のイメージを完璧に超えています。

 この映画は、自爆テロリストの決行前の48時間を描いているのですが、それが、政治的メッセージではなく、個人の人間的心情として主人公達に迫っています。

 それが、こういうスタイリッシュな映像に表れている気がします。
 つまり、この映画が、自爆テロリストの話である、というのは、「たまたま」なのですね。こういうキャラクター達を使って、まったく別のドラマを撮ろうと思えば撮れる。
 そこに、一種の救いがあるように見えるのですよね。

 話がちょっとユーモラスに描かれるところも、『トレインスポッティング』に似ています。胸にはりつけたテープの具合がうまくいかなくて、「べりっ」とはがすのですが、これが痛そう(笑)(あっちの男性は胸毛がいっぱい生えてるからね…)。
 しかし「今度からもっといいテープを使ってくれ」と文句を言うと「2度目はない」と、にべもない返事。笑えるようで、笑えないようで。

 『トレインスポッティング』は、仕事がない、という環境の中で、「死にたいけど死ねない」という感覚を抱えた若者達が、最後は、生の方向に向かうところで終わっています。そして、この映画は、「死にたくもないけど死なないといけない」という運命に巻き込まれた若者が、死なないようにとあれこれ試み、しかし、最後は…という構成になっています。

 生きる死ぬを、「政治」「国」といったシステムのレベルで語らず、あくまで個人のレベルで語っているところに、癒しというか、救いがあるような気がします。
 
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# by ropponguimovie | 2007-03-09 22:32 |

今週、いちばん癒せる映画vol.12『パフューム ある人殺しの物語』

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 発行が1日遅れましてすみません…

 今週オススメの映画は、トム・ティクバ監督の最新作『パヒューム ある人殺しの物語』です。

 ちょっと関係ないところから入りますが(いつも?) 最近、実用書を読むのが楽しくてしょうがないです。

 人生全般にまつわる自己啓発から、「トップ営業レディのセールストーク」まで。

 最初のうち、「ハウツー本を読みまくりって、ださい?」と思ってました。
 しかし、ほどなくして、これは、素晴しい行為だ! と思い始めました。

 なぜなら、私は、これらの実用書を文学として読んでいる、ということに気がついたからです。「本人が書いている実用書は、へたな小説より『冒険物語』としてよっぽど面白い」と思っているのです。
 村上春樹が『羊をめぐる冒険』を書いたように、彼らは『セールスをめぐる冒険』『マーケティングをめぐる冒険』『結婚相手さがしをめぐる冒険』を書いているのです。

「物語の定義」って、ご存知ですか?

 いくつかあるのですが、よくできた物語の定義として、「物語は、痛みをともなって語られなければいけない」というのがあります。(参考文献「神話の法則 ライターズジャーニー」)
 体験者が書いたハウツー本って、この法則にのっているんですよ。自分の失敗がたくさん書かれているし、そもそも「自分の失敗も公開して、みんなに幸せになってもらおう」という発想そのものがかなり痛い。
 渡辺淳一が自分の経験を屈指して『愛の流刑地』を書いたように、みなさん、『金の流刑地』『結婚の流刑地』を書いてるわけです。
 いや、それが事実だという点で、それは、想像で補完している小説よりもっと痛い、となれば、実用書の方が面白いにきまってるじゃありませんか。

 世の中にこれだけ痛くて楽しいハウツー本があふれてくると、小説は、ちょっとやそっとのことで太刀打ちできなくなります。その「うそっぱちさ」が、実用書を上回る痛々しさを持っていないと、面白くない。

 そして、原作『パフューム』は、その、「実用書を上回る痛々しいうそっぱち」なのです。

 親の顔を知らずに育ったある少年には、誰にも真似できない才能がありました。それは、嗅覚が異様にすぐれているということ。彼はその才能を生かして香水職人になりますが、彼にはどうしても再現したい香りがありました。それは、昔、その匂いを好きになってしまったが、勢いあまって殺してしまった女の体臭です。人殺しを犯しても、彼に罪悪感はありません。それどころか、人は死ぬともうステキな匂いがなくなってしまうことが、悔しくてしょうがありません。
 そこで彼は、年頃の美しい娘を次々と殺し、そのなきがらから香料をとる、という荒業を始めます…。

 この映画の中では、この恐ろしいストーリーは前半部でしかありません。後半、この愛のかけらもないろくでなしの行動が、なぜか、周囲の人々に「愛」を及ぼしていく、という、妙というか、皮肉なところに、この話の特徴があります。

 さて、再び、実用(自己啓発)の話に戻ります。

 「こうなりたい」と願っていると、いつかその通りになってしまう、という話は、聞いたことがありますよね。
 反対に、「絶対にこうなりたくはない」と思っていても、やっぱりその通りになってしまいます。

 なぜでしょうか。

 それは、「こうなりたい」であっても、「こうなりたくない」であっても、そのときの感情の強さは、同じだからです。感情が大きくふれたときに、人の行動に影響を及ぼすのです。
 針が、プラスの方向に振れるか、マイナスの方向に振れるかは関係ないのです。問題は、その絶対値の大きさ、というわけです。

 この考え方でいくと、「人を愛している」か「憎んでいるか」という分け方は、できない、ということになります。
 愛にしろ憎しみにしろ、「どれだけのコミットを望んでいるか」=愛ということになるわけです。
 彼の、殺意というコミット欲は、それを他人に映したとき、愛というコミット欲に変わってしまうのです。自分が思っている世界観を他人が演じる「鏡の法則」というのがありますが、彼の鏡は、反転する、という奇跡が起こるわけですね。

 これは、現実の世界ではしょっちゅうあることとはいえないけど、でも、ときどき起こります。奇跡は人に希望を与えます。でも、ここまで大胆な価値変換は、現実で起こるのは難しいですね。
 やはり人はときどき、「よくできた嘘っぱち」に触れる必要がある、と思わさせてくれる作品です。心をリセットするために。

  さて、この話は時代劇で、みんな長い裾をひきずっているわけですが、『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクバ監督によって、お得意のCGを使ったスタイリッシュな映像になっていいます。『マリー・アントワネット』もそうですが、コスチューム・プレイを、現代的な音楽や映像で軽やかに見せる手法が、今後増えてくるかもしれません。

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# by ropponguimovie | 2007-03-04 00:28

今週、いちばん癒せる映画vol.11『さくらん』

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 今週おすすめの映画は、蜷川実花監督、土屋アンナ主演で吉原の花魁を描いた作品『さくらん』なのですが…、いきおいあまって、昨日、えんえんと、自分のもう一つのブログに書いてしまった…。「自分の性をコントロールすることを覚えた女=手練手管と、最後にたどりつく癒し」論については、こちらを見てね。
http://blog.livedoor.jp/isl/archives/50921294.html

 しかし、この『さくらん』については、いっぱい書きたいことがあるので、メルマガでは、別の観点から解説したいと思います。

 うーん、実は、女性監督が撮ったこの映画が、ストーリー的には『SAYURI』とけっこうかぶちゃってることが、最初は納得いかなかったんですよねー。
 
 でも、昨年、アメリカに行ったとき、ちょっと考え直しました。

 アメリカ人、ゲイシャ、好きです。特に、ヒスパニックの人、ゲイシャ、好きです。少ないサンプル数だから言い切れないけど。
 でも、日本人と見るやいなやゲイシャの話をしたがる(男も、女も)、あれは何なんだろうと考えて、ふと思った。

「聖母信仰(カトリックの特徴)とゲイシャ信仰は、近いところにある?」

 あるいは、「ゲイシャ・ストーリーは、女版『ベン・ハー』である?」

 つまり、「人間性を否定されるような場所に押し込まれても、聖なる部分をを失わなかった人」

「聖母マリア=子ども生んでも処女性を失わなかった人」

「ベン・ハー=奴隷に売られても高潔な魂を失わなかった人」

「ゲイシャ=性的自己決定権を失っても、高貴さを失わなかった人」

 それって、憧れじゃないですか。私たちは、奴隷とか女郎に売られなくたって、すぐ、高潔な魂を失うじゃないですか。

「親を安心させようとして銀行員になったけど、借り手に尊大な態度とらない人」

「お金持ちだけど問題をお金で解決しない人」

 そういうのになるのって、とっても難しいじゃないですか。

 だから、「ゲイシャ・ストーリー」というのは、一種の神話なのだと。そういう人が現実に生きていたら、ますます畏怖の対象になるだろうなあ、と思ってしまうのでした。

 話は変わりますが、このストーリーの後半、「しげじ」ちゃんという女の子が登場します。しげじは、主人公きよ葉の禿(かむろ=女郎になる前の見習いの少女で、一本立ちした女郎の付き人のような役割をする。女郎は自分の給金から、食費などの面倒を見る)で、女郎になる運命に徹底的にさからったきよ葉とは対照的な女の子です。
 いつも素直で、ポジティブ。「きよ葉姉さんが面倒見てくれるから、寂しくない」といって、泣かせます。郭の下男、清次が落ち込んでいたりすると、ずっと年上の清次に「お食べ」といって、菓子を差し出したりする、やさしい女の子です。
 しかし、幼いしげじには、幼いなりにして実に着いた信念があります。
 映画の中で、「金魚」が効果的に使われています。金魚は、女郎たちのメタファーです。当初、きよ葉が女郎になる運命に抵抗していた頃、当時のトップ花魁だった粧ひ(菅野美穂)は、「金魚は、びいどろの中でしか生きられない」と言ってのけます。「金魚を川に放すと、三代でフナに戻ってしまう」と。この映画は、このテーゼに逆らうきよ葉の心の旅のストーリーです。
 しかし、映画のラスト近く、きよ葉が重大な決断を下した後に、しげじは、水槽を飛び出してしまった金魚に語りかけます。「ばかだねえ、お前、お前はびいどろの中でしか生きられないんだよ」と。

 しげじは、ばかな子ではないと思うのです。しげじは、いわれるがままにそうなったのではなく、きよ葉とは別のサバイバル手段として、この命題を受け入れることを選んだのだと思う。彼女には彼女なりの自我があるのです。
 でも私、しげじを見ているとちょっと怖くなります。
 本当は、きよ葉が正しいとかしげじが正しいとかそういう問題じゃなくて、「身売り」という制度がなくなることが社会のインフラとして整備されてないとまずいんじゃないかと思うんだけど。そういう目をもっていないと、なんでもしげじみたいに解決しそうです。「今が幸せです、ありがとうございます」とかいって。

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# by ropponguimovie | 2007-03-04 00:27

今週、いちばん癒せる映画vol.10『ドリーム・ガールズ』


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 すみません、先週、発行をさぼってしまいました…(平謝)

 そして、『ドリーム・ガールズ』の公開は先週ではなく今週でした…(平身低頭)

 先週公開のの『あなたにならいえる秘密のこと』の癒しのポイントは、「アーモンドの石けん」です。(手抜き)

 では、『ドリーム・ガールズ』の解説に行きたいとおもいます。

 まず、この映画の癒しポイントは、「ドリーム」ではなく、「ガール」の方にある、という点から始めます。

「ガール」の映画の泣きのポイントは、共通しています。

『スウィング・ガールズ』『フラガール』『カレンダー・ガール』、そしてこの『ドリーム・ガールズ』!

 そのポイントは…「やると決めたら、一直線!」なのですね。

「ガール」というのは、「ボーイ」以上に、世間の中で制約の多い存在です。その「ガール」が、「やる!」と決めた以上、どんな障害も跳ね返すまっしぐらさ! それに、見る人は、男も女も心打たれてしまうのです。

 そして、女の友情というものは、常に男が入ってくることで壊れやすい(笑)。日本製の「ガール」映画はそうでもないけど、今回の『ドリーム・ガールズ』はとくにそういうところがありますね。それを乗り越えて、友情を再構築していくあたりが、とってもフェミ好み♪でもあります。

(そういえば、女性雑誌編集者時代(女バンドブームの頃)、アマチュア女子バンドの女性が、「女の子バンドは男がらみで壊れることが実に多い」っていってた。今もそうなのかなあ)

 かつてのダイアナ・ロスが属したシュープリームスとモータウン・レコードから着想を得たこのミュージカル、当然、音楽がすばらしい。主演のビヨンセももちろん、ゴールデン・グローブで助演女優賞を日本の菊池凛子と競って勝った、ジェニファー・ハドソンの歌唱力がすごいです。
 また、ジェイミー・フォックス、エディー・マーフィなど、アフリカ系の俳優が渾身の演技を見せる!(デンゼル・ワシントンはいないけどさ)この作品への、並々ならぬ愛着も伺えます。

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「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.9  発行27部
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# by ropponguimovie | 2007-02-17 00:03 | メルマガ

今週、いちばん癒せる映画vol.9 『バブルへGO! タイムマシンはドラム式』

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 さて、今週末(2月3日)公開の映画の中で、「癒せる映画」というのがなかなかありません。
 そして、来週末(2月10日)公開の映画では、「癒せる映画」が目白押し。
(来週は、『あなたにならいえる秘密のこと』と『ドリーム・ガールズ』のどっちにするか、考え中)
 そこで今週は、来週公開のなかからもう一本オススメの映画、 『バブルへGO! タイムマシンはドラム式』を紹介したいと思います。
 99年の『メッセンジャー』以来のホイチョイ・ムービー。公開劇場は日劇PLEXだ!

 さて、私は映画を紹介するときネタばれするのはポリシーとしてやってなかったのですが、この映画に関してはあえてしたほうがいいように思います(というわけで、ネタばれ拒否の読者様、今回は映画見てから読んでください

 2007年。財務省のプロジェクトで、フリーターの主人公(広末涼子)は、バブル絶頂期の1990年に戻ることになる。その任務は、当時の大蔵官僚を説得して、あのバブル崩壊を招いた総量規制を思いとどまらせること。ところが、総量規制の実施は、政府の「失政」どころか「陰謀」だった(一部の人だけが勝ち抜けるための…)。

 監督の馬場さんが、これを、エンタテインメントとして作ったらこういうストーリーを編み出しちゃったのか、多少チクリとやる意図があったのか、それは全然わかんないです。
 もしかしたら、純粋に「物語の法則」にのっとっただけかもしれない。「崇高な意思決定機関」が実は黒幕だった、っていう話は、過去にもあります。『アイランズ』と『アップルシード』なんて、まるっきり同じ話だものね。

 しかし、「物語の法則」にもとづいた結果だけだとしたら、それはそれで興味深い話。フィクションであるこの映画と、ドキュメンタリーである『911 ボーイングを探せ!』が同じ構造ができている。これは何?

 両者の特徴は、「不可避の事件であると思われていたことが、『この事件によって得をしたのは誰か?』を考えると、実は策略かもしれない」と考えさせるところです。すべてのサスペンスは、このパターンに基づいていますね。

 『911 ボーイングを探せ!』の内容を信じているからかもしれませんが、私はどうも『バブルへGO! 』も実は策略だったんじゃないかという今回の説を、信じてしまいます。
 なぜ? それが妙に信憑性あるから。 そして、「物語の法則にのっとっている、ということは、癒しをもたらすから
」なんです。

 なんでそんなところに癒しがあるかというと、物語の法則にもとづいて黒幕がいたということは、我々は物語の法則にもとづいて、その黒幕と戦うことができるからなんですね。

 馬場さんは、最後までブラック・センスを発揮していて、この映画は、せっかく黒幕と戦ったのに、あんまり救いのない終わり方をします。日本はバブル崩壊をまぬがれたんだけど、今度は別の危機の方に向かっていってしまうの。
 映画で、その主人公となる阿部寛に、「どういう未来が理想なのか、僕にもわからない」といわせています。つまり、観客にボールを投げてしまって、観客がその未来を想像できないと、やっぱり同じ不幸を繰り返すことになる(笑)。

 黒幕というのは、あくまで私たちの心の投影されたものであって、本当の黒幕は私たちの心の中にいます。
 この映画は、それを探し、それと戦え、といっているようです。本当か!(笑) あの頃を思い出してげらげら笑えっていっているだけじゃないのか?! 

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「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol.9  発行27部
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今週、いちばん癒せる映画vol.8『ルワンダの涙』

今週、いちばん癒せる映画vol.8『ルワンダの涙』
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 その前に前号の訂正。
 ソフィア・コッポラとスパイク・ジョーンズは、2003年に離婚していました。『マリー・アントワネット』と『ジャッカス ナンバー2』を見て「この二人が同じ屋根の下で暮らすんじゃキツそうだなあ」と思ったのがコラムにしたきっかけなんですが、「本当にキツくないか? もうガマンの限界を超えてないか?」と、裏とるべきでしたね。お詫びして訂正いたします。

 さて、今週(1月27日)公開、イチオシ!の映画は、『ルワンダの涙』。

 でも、あんまり癒されないかも(すみません…)。癒しがあるとすれば、同じルワンダ虐殺を描いた『ホテル・ルワンダ』が日本ではお蔵入りの危機→一般観客の署名運動→渋谷のユーロスペースという小さな映画館での公開 だったのに対し、こちらの『ルワンダの涙』は、最初っから六本木の東宝シネマズ他全国順次公開が決まっている、ということでしょうか。

 ちなみに、同じ日に公開される『グアンタナモ、僕達が見た真実』も、日本ではなかなか報道されなかった、グアンタナモ軍事刑務所(キューバ領内になるがアメリカの持ち物で、やりたい邦題の捕虜虐待が問題になっている)内のできごとを暴く、という、暗めの映画なのに、シャンテシネで公開されます。私は先週、『それでもボクはやってない』を見に行ったときに劇場で予告を見たのですが、他の映画の予告とは一段上の集中力が場内にみなぎり、みんな、じっと予告編に見入っているのがわかりました。

 さて、『ルワンダの涙』ですが、これは『ホテル・ルワンダ』より、きつい事実を見せてくれるかもしれません。『ホテル・ルワンダ』では、登場人物は、現地の人たちだけです。しかし『ルワンダの涙』では、アフリカに支援をしに来て、結局何もできずに、自国に帰っていったヨーロッパ人の心の葛藤を描いています。

 映画には、ふたりのヨーロッパ人が登場します。ひとりは、実在の人物をモデルにした、老年のクリストファー神父。虐殺の部隊となった公立技術専門学校(ETO)の校長であった彼は、暴力を否定する姿勢をつらぬき、ツチ族の子ども達を逃がし、最後まで現地に残りました。

 もうひとりは、海外青年協力隊の一員として学校に派遣された若き英語教師、ジョー・コナー。若く、情熱的で、理想に燃えていた彼は、しかし、後々まで、悔いの残る選択をすることになってしまいます。

 しかし、まだ平和な時代、彼は、学校の生徒で成績優秀なマリーをとてもかわいがり、熱心にスポーツの指導をしていました。この指導の思い出が、後で、マリーたち生徒を、サバイブさせてくれることになります。

 あー良かった、癒されるところ、思い出して(嘆息)。

 この映画は、当時のルワンダの虐殺に対して何もできなかった、という、我々への問題意識を強烈にかきたてるのですが、同時に、このように、それでも人と人とが関わることから生まれる奇跡のすばらしさを描いています。ラスト・シーンを見てもらうとわかるのですが、ヨーロッパを初めとする諸国の対応に悲しみを表してはいますが、裁こうとはしていません。だからこそ、見ていて、また、胸がしめつけられちゃうんですけど。

『ルワンダの涙』公式サイト 
http://www.r-namida.jp/index.html

『グアンタナモ、僕達が見た真実』公式サイト
http://www.guantanamo.jp/

*******************************
「今週 いちばん癒せる映画」!」 vol8. 発行27部
出典を明らかにしていただければ、無断転載は可能です。
発行人・石塚とも
お便りフォーム
http://www.enpitu.ne.jp/tool/formmail.cgi?id=72381
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http://rmovie.exblog.jp/


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# by ropponguimovie | 2007-01-26 22:17 | メルマガ

今週、いちばん癒せる映画vol.7 『マリー・アントワネット』

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 1月20日、午前10時の回で、今週のイチオシ! 『マリー・アントワネット』を見てきました。
 「シルクと、ダイヤと、ケーキに囲まれた、ひとりぼっち」。
 このキャッチ・コピーからして、うーん、うなりましたね。

 日本の女性達はマリー・アントワネットほど裕福なわけではありませんが、でも、「シルクと、ダイヤと、ケーキに囲まれたひとりぼっち」さんは、本当にたくさんいると思います。高度経済成長期以降に生まれ、物質的に豊かに育てられた女性達はみなそうです。
 ソフィア・コッポラは、その先駆者(?)みたいな女性ですが、彼女が育つ中で感じてきた「シルクと、ダイヤと、ケーキに囲まれた一人ぼっち」を、今やみんなが体感している時代になったのです。

 ソフィアは芸術家の娘として、たぶん潤沢な資金のもとでさまざまな文化を身につけて育ったんだと思いますが、そうした彼女が生い立ちの中で身に着けてきた芸術的感覚が、映画の中で花開いています。バロック豪華絢爛の時代劇のBGMに、こんなポップな音楽群を使うなんて、いったいソフィアのほかに誰が考え付くでしょうか? パステルカラーのガーリーなお菓子たちは?

 お菓子で思い出しましたが、映画の中でも触れられていますが、有名なセリフ、「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」は、彼女がいったというのは事実ではないそうです。しかし、事実だとしても、これを聞いて、むっとすべきではないと思いますね。だって、さびしい少女はいつだって、栄養の糧としてのパンよりも、心のすきまを埋めるお菓子の方が好きなものだから。

 アメリカには、「少女マンガ」という文化がありません。「少女マンガ」というのは、「少女の、大人になることへの恐れ」を表現した芸術ジャンルです。ソフィア・コッポラは、その、アメリカにない文化をほぼひとりで担っているように見えます。
 なにしろ、ちょっとしか登場しないフェルゼン、ホント、かっこよかったー(笑)。ジョシュ・ハートネットといい、ヘイデン・クリステンセンといい、ソフィア・コッポラは、こういう無名のイケメン探してくるの天才ですからね。資料がないので彼の名前が分からないんですが、きっとこの俳優も伸びるんだろうなー。

 ところで、先週から、『ジャッカス・ナンバー2』という映画が公開されています。これは、男性器にねずみさんの絵を描いたソックスをかぶせて、蛇の前にちらつかせたり、牛のとりたての精液をみんなで飲む、という、どうしようもないおふざけのシーンが延々続く映画なんですが、この映画の監督は、ソフィア・コッポラの夫、スパイク・ジョーンズです。
 マリー・アントワネットの夫、ルイ16世は、錠前作りが趣味で、妻と7年間性的接触がなかった(病気だったらしい)という、なかなか成熟にいたらない男性だったようですが、ソフィアの夫も似たようなもんだなあ、と思ってしまうのは私だけだろうか?

【追記】ソフィアとスパイクは2003年に離婚している、というご指摘をいただきました。
凡ミスです。一つ検索掛ければすむことだったのに、すみませんでした。
お詫びして訂正いたします。
調べたら、ソフィアは本作撮影中に他の男性の子どもを妊娠していたとか。
http://cinematoday.jp/page/N000847
うーむ確かに、この2作は、同じ屋根の下に住む人間同士の作品とは思えない、
それも、ただ「違う」のではなく「正反対」の方向なんですよね…。

『マリー・アントワネット』公式サイト
http://www.ma-movie.jp/
『ジャッカス ナンバー2』公式サイト
http://paramount_mtv.weblogs.jp/

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# by ropponguimovie | 2007-01-20 23:23 | メルマガ

今週、いちばん癒せる映画vol.6 『不都合な真実』

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 さて1月20日公開のイチオシ! には、『マリー・アントワネット』を押したかったのですが、私はこれを試写で見られていません。続いての注目は『それでも僕はやってない』だったのですが、これも見られていません…++。
 
 しかし、3番目の候補だった『不都合な真実』に「しょうがないから」とつけるのはもったいないお話。地球環境がいかに危機に瀕しているか、アル・ゴア元副大統領は、豊富な映像資料とたくまざるユーモアを込めて語ってくれます。

 この映画は、「癒せる」映画ではないかもしれません。むしろ、「癒す」のを待っている場合ではない、「治療」の映画といえると思います。
 舞台挨拶でもゴア元副大統領はいっていましたが、「あなたの子どもが熱があったら、病院に連れて行くでしょう? 今、地球はそんな状態なのです、お医者様に見せなければなりません」と。

 …ところで、正直言いますと、この映画、結構、眠いです。私はなんとかちゃんと見ましたが、実は、試写室ではかっぽり口をあけて寝ている人が続出、いびきも聞こえてました。
 先日、私が以前購入したことがあある自己啓発テープの会社から、「意識の高い皆様のためにお知らせです! ゴア氏の講演会、3万円、彼と写真を撮れる晩餐会つきだと30万円」というお知らせが回ってきました。その講演会に出たという人に後日会ったんですが、その人もやっぱり寝ちゃったそうです。(…)
 そういうわけで、ちょっと、意識を高くして、寝てしまわないように見てください。

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# by ropponguimovie | 2007-01-20 23:22 | メルマガ

今週、いちばん癒せる映画vol.5 『京鹿子娘二人道成寺』

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 1月13日公開のイチオシ! は『京鹿子娘二人道成寺』。
 主演は坂東玉三郎と尾上菊之助で、有名な歌舞伎の演目をそのままデジタルに収めた、迫力の映像です。
 細部が見られるという点では、生の舞台を見るよりすごいかも(歌舞伎座の舞台は、遠い座席からだと本当に遠いですから)。

 私は「歌舞伎」よりも「能」が好きで、謡曲・仕舞も習っていたことがあります。理由は、「能」の方が人間のトラウマティックな体験とそれにまつわる恨み、そこからの再生をはっきり描いているからです(恨んだまんま再生しないで終わる演目もたくさんあります)。日本の武士は、自分が戦争で殺した弱者の恨みを舞として舞うことで、死者の鎮魂を行っていたのです。

 ところが、時代が下がって「歌舞伎」になると、「鎮魂」の要素はほとんどなくなります。歌舞伎は庶民が作り、庶民が見るもの。自分が刀をふるって相手を殺した武士の世界とは関係がないのです。町民は武士より階級は低いし抑圧された存在でしたが、武士の「人が人を殺す痛み」なんてものは、上つかたのお仕事。知らぬ存ぜぬでいいのですから、無責任な(笑)娯楽性が強くなります。

 「道成寺もの」といわれる作品は、お能にも歌舞伎にもありますが、能の『道成寺』では、、思い人安珍に逃げられた清姫は、妄執のあまり鬼になってしまいます。お能の中でも最も怖い「般若」の面を使い、「みつうろこ」といわれる三角形の並んだ着物を着るのは、全身が鱗(爬虫類)になっているからです。これは、ほんとにこわいっす。(ちなみに能の『道成寺』は、能の中でも「鬼女もの」の中に分類されます)

 対して、歌舞伎の『京鹿子娘二人道成寺』では、主人公「花子」(名前も変わっています)は、鬼になったりしません。ずーっとお姫様の格好のまんまです。それどころか、この歌舞伎の最大の見所が、次から次へと一瞬にして変わっていく鮮やかな衣装がえで、全幕とおして、5~6回あります。どれもこれも、日本の着物でなければ絶対に見られない革新的な色あわせ。この色あわせを見ると、20世紀初頭の西欧世界がジャポニズムに熱狂したわけが理屈抜きにわかります。
 
 しかも、ひとりだけじゃ足りないから、花子をふたりにしちゃった、という、リアリズムなんてくそ食らえ、まったく意味のないゴージャスさ!

 『京鹿子娘二人道成寺』は、ストーリーは最大限単純化されていて、ただひたすら、花子がその舞を披露するという作品です。庶民の目からは、人の「恨」「鎮魂」なんてどうでもいい、というふうにも見えます。
 でも、その、ひたすら娯楽を追及した舞がもはや尋常じゃないのです。「踊り狂う」という表現が正しい。花子の舞は、生の喜びをことほぐ舞ではありません。妄執に取り付かれた舞なのです。

 それを娯楽として見てしまう人間、というのは、とても残酷な存在である気もしますが、「カタルシス」(浄化)、というのは、もともと(排泄)という意味もあるそうです(まあ、当然ですね)。どの人の心にも怒りや恨みはありますが、こんなふうに踊り狂うわけにはいきません。この映画を見たら、代わりに踊る花子を見て、少しは、いえ、間違いなく心が浄化されると思います。

 話は変わりますが、恋愛の成功法則で、「女が先に声をかけたら、その恋は絶対にうまくいかない、男が声をかけるのを待ちなさい、声をかけてこない男はあきらめなさい」というのがあります。
 一方、ファム・ファタル(「運命の女」と日本語に訳されてますが、「ファタル」は本来「命取りになる」という意味です)が男を食い殺す話は、世界中にあります。
 これは私は、「女の方から男を誘いたくなるとき」というのは、女の自己評価が著しく落ちているときだからではないかと思います。女が自分の力で幸せになることを怠けて、男に幸せに幸せにしてもらおうという依存心をもったとき、女は「誘う女」になるのではないかと思うのです。そして、男が誘惑に負けて「ついエッチ」してしまうと、自分が利用されたことには敏感に気づき、ますます自尊心を下げ、さらにいっそう男に執着するようになるのです。

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# by ropponguimovie | 2007-01-12 23:56 | メルマガ

今週、いちばん癒せる映画vol.4 LAから特別編『プリティ・ウーマン』

今週、いちばん癒せる映画vol.4 LAから特別編『プリティ・ウーマン』
 読者のみなさま、あけましておめでとうございます。
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 無事に帰国しましたが、今週は公開の本数が少なく、「これだ!」と思うものがないので、LA渡航記念特別版を書きたいと思います。

 その映画とは…『プリティ・ウーマン』(ベタだ…)

 仕事の関連もありまして、ロスに行く直前に見たのです。
 そして今回、とても深い発見がありました。
 どうしてこの映画が、『ローマの休日』を超えて、世界でもっとも愛されるシンデレラ・ストーリーになったのか…。

 その鍵は、
 ヴィヴィアン(ジュリア・ロバーツ)でもなく、エドワード(リチャード・ギア)でもなく、
 ヴィヴィアンのルームメイト、キット(ローラ・サン・ジャコモ)、なんですね。

 キットは、ヴィヴィアンの娼婦仲間でルームメイトで麻薬中毒。彼女が麻薬に家賃の分のお金を使ってしまったために、ヴィヴィアンはその夜もう一度ストリートに立つはめになり、そして道に迷ったエドワードと出会った…という、結果的にはふたりのキューピッドになったような人です(笑)。

 話の中で、キットは、ヴィヴィアンを娼婦の仕事に誘った人であることも明かされます。ヴィヴィアンは初めての仕事のとき「嫌で泣いていた」といい、観客とエドワードをほろりとさせます。それに比べてキットはけろっとしたものですから、ここまでのキットとヴィヴィアンは対照的です。
 そして、このふたりは、あえていえば、共依存的な関係を結んでいたような感じです。
「キットがいなければ、ヴィヴィアンは命が永らえていたかもわからない」
「しかし、キットが誘った道は、決して尊厳ある道ではなかった」
「キットが麻薬中毒で使い込んだ金を、ヴィヴィアンが始末している」→ますます自己尊厳の低下。

 さて、お話はみなさんのご存知の通りに進んで、ヴィヴィアンは、「アパートと車を用意するから街には立つな」というエドワードのセリフを「私が夢に見てきた白馬の王子は、女を金で囲ったりしない」とはねのけるほど、強い自尊心をもった女性に変身します。
 そして、エドワードとの契約で得たお金で、中退した高校を卒業するところからやりなおそうと、キットとのルームメイトも解消します。
 これは、キットにとってはもう、自分が麻薬にお金を使ってしまっても、尻拭いしてくれる人がいなくなることを意味します。また、ヴィヴィアンも、そういう他人の責任をおっかぶる生き方がふたりのためにはならないことに、このときの彼女なら気がついていたのではないでしょうか。ふたりの危ういパートナーシップはここで切れるわけです。

 しかし、自分の人生に広い選択肢=自由を見出したヴィヴィアンは、ただキットと別れる、という、冷たい態度をとらないほどに心の成長をとげていました。

 成長のあるところには、赦しがあります。ヴィヴィアンは、自分を過剰労働(!)に追い込んだキットに怒りを感じるどころかエールを送り、エドワードから得た金を、「エドワード・ルイス奨学金よ」といって分けてやります。
 そのときに、ふたりは気がついているんですね。ふたりは、どうして娼婦という仕事がこれほどに惨めかというと、絶望とともに娼婦という仕事をやってきてしまったのだと。この仕事を選んでしている誇りあるセックス・ワーカーという人も世の中には存在するみたいですが、少なくともふたりは、「娼婦やる以外に、自分たちなんて何の役にも立たない」という低い自尊心とともに娼婦をやっていたのです。
 ヴィヴィアンの方は、その低い自尊心から、麻薬中毒のキットの尻をぬぐうという、世話焼き病にかかり、世話さえ焼くことのできないキットは麻薬中毒になっていたのでした。

 この映画のいちばん感動的なところは、エドワードとした一週間の心の旅によって、自分の尊厳を回復したヴィヴィアンから、キットに、その高まった自尊心が伝播してゆくところだと私は思います。
 キットもまた、投げやりな仕事によって投げやりな客から得た投げやりな金ではなく、自分を本当の意味で大事にしてくれる(自分の尻拭いではない)金を、初めて受け取った。ヴィヴィアンがエドワードとの一週間によって「愛」というものを少し学んだように、キットも、このとき初めて「愛」というものに触れるのです。

 ヴィヴィアンとルームメイトを解消した後のキットの行動がすばらしいです。花束を持って昨日の非礼を侘びに来たエドワードが通り過ぎる娼婦街で、キットが新たなルームメイトがを探しているのが映し出されます。
「あまり高い部屋じゃだめなの、これから、美容学校に通うんだから。。。え、あんた、あんたの夢は何だったの?」

 この「あんたの夢は何だったの?」というセリフは、同じように絶望を抱えて仕事をしている娼婦仲間に向けられたものであると同時に、見ている私たちにも向けられたものでもあるのです。私たちは、絶望を抱えたヴィヴィアン、恨みを抱えたエドワードが互いに尊厳を取り戻し、スピリチュアルな成長をとげていくのを見て、自分にもそういう機会が訪れることを願う。そのふたりに最初に感化されるのがキットであり、私たちはキットから感化される形で、より、自分たちにもスピリチュアルな成長の機会が訪れるであろうとイメージすることができるのです。

 物語のパターンに置き換えると、ヴィヴィアンとエドワードが果たしたのは、キリストが果たしたのと同じく、絶望、という「心の死」からの復活であり、キットの役割は、それを目撃して、人々に伝えに行った使徒、ということになるでしょうか。

 言い方かえれば、キットは「口コミ宣伝パーソン」ともいえますが(笑)。

 というわけで、よくできたハリウッド映画というのは、脇役にまで本当に大切な役割が無駄なく配されているものだなあ、と、技術的にも私は今回あらためて感心してしまったのでした。

 映画は、「ハリウッドは夢の町。夢をかなえるところだよ」というセリフで終わります。
 夢、とは何でしょう。
 私は、夢、というのは億万長者になるとか、紙に書いて毎日眺める、ということではなく、この「復活する」ことではないかと思います。
 絶望から、もう一度生命の営みを始めること。
 とても簡単なことのはずなのに、億万長者になる以上に、かなえる人は、いや、「かなえることが気持ちいい」と思う人は、少ないのかもしれません。

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# by ropponguimovie | 2007-01-05 22:53 | メルマガ

今週、いちばん癒せる映画!vol.3 『オーロラ』

今週、いちばん癒せる映画!vol.3 『オーロラ』
 このメルマガは、今週公開される映画の中から、
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12月16日公開のイチオシ! は『オーロラ』。

 バレエというのは西洋の「肉体の肯定」の結晶みたいなすばらしい芸術なのですが、なにしろ値段が高い。しかし、この映画では、オペラ座エトワールたちの華麗な舞踏を手軽に見ることができるのですから、これを逃す点はありません。

 タイトルは『オーロラ』ですが、『眠れる森の美女』とは関係なく、本作はニルス・タヴェルニエ監督のオリジナル・ストーリーです。
 で、オリジナル・ストーリーなのですが、監督が、古典バレエの名作のエッセンスを正確に踏襲して作っているため、「こういのがクラシック・バレエにあってもおかしくない」と思うほどの完成度の高いストーリーになっています。
 おとぎ話としての「コード」(←、と、取材のとき監督自身がおっしゃっていた)、ひいては、よくできたおとぎ話だからこそきちんと含むことができる暗喩にたっぷり満ちています。人間にとって自由とは何か? 境界線(国境)とは何か? 守るべき自分の領土とはどうやって作られるのか? そんなことを、考えてもいいし、考えなくてもいい。舞踏の技術に圧倒されるだけでも、悲恋物語にうっとりするだけでも、哲学的・政治的な問いを投げかけてもいい。楽しみ方が何層にも重なった、奥深い映画です。

 今回は短いですね(笑)。

 なお、このメルマガは、来週、再来週はお休みとなります。

12月23日公開の映画では『名犬ラッシー』『ダーウィンの悪夢』
12月30日公開の映画では『見えない雲』がおすすめです。

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# by ropponguimovie | 2006-12-16 00:10 |

今週、いちばん癒せる映画!vol.2 『硫黄島からの手紙』

 このメルマガは、今週公開される映画の中から1本
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 今週の一本は、クリント・イーストウッド監督、来年のアカデミー賞の呼び声も高い、『硫黄島からの手紙』です。

 お能に『松山天狗』という作品があります。
 これは、西行法師が全国を旅していたときに、讃岐国松山まで来ると、その地でかつて憤死した崇徳上皇の例が天狗となって現れ、大暴れします。その天狗に西行が「あなたは本当にあなたはつらい思いをなさいましたね」という主旨の歌を詠みかけてやると、天狗は怒りを鎮め、再び山に帰っていく、というストーリーです。

 ここで西行法師が崇徳上皇の怒りをどうこうしようというのではなく、ただひたすらに耳を傾けた、そうしたら怒りが鎮まった、というのがこのお話のポイントだと思うのです。

 イーストウッド監督の「硫黄島二部作」は、すでにアメリカ側からの『父親たちの星条旗』をご覧になられた方は感じられたかもしれませんが、当時の兵隊たちの様子を、非常に突き放した視線で描いています。愛国心をいたずらにあおる姿勢は微塵もありませんが、逆に彼らを悲劇のヒーローとして持ち上げる姿勢もありません。ただ、戦っても国に呼び戻されプロパガンダの道具として使われても、「悲しい」という感情をぬぐうことができなかったその心の声にのみ寄り添っています。

 これは本作の『硫黄島からの手紙』も同様で、負けると分かっている戦闘の中での、彼らの心の中を描こうとします。

 とくにクライマックスとなるのが、英語のわかる日本の将校が、米軍の捕虜が持っていた母親からの手紙を日本の兵隊たちの前で読み上げ、日本の兵隊達が、「俺の母親が書いた手紙とまったく同じだ」と感じいるシーンです。

 もし私が(あなたが)戦争で死んだとしたら、どういうふうに扱ってもらえるのが嬉しいかな? こんな問いを発してみると、ある人は神社にまつられたら嬉しいと思うかもしれないし、またある人は、そんなところにまつられたってホメ殺しみたいで嫌だという人もいるかもしれないけれど、いずれにせよ「あのとき、どんな気持ちだったのか」知ってほしいと思うのです。
 この映画では、「国のために死ぬ」ということの是非論はさておいて、(もう現場に出されてしまったら、そんなことを考えている場合ではない)、自分に対して、家族に対して、本当の個人的な「気持ち」というものに視線をあてています。

 主演となる「嵐」の二ノ宮和也がとてもいい。彼は戦地に送られる以前に経営していたパン屋の道具を軒並み徴収され、戦争に対してかなりシニカルになっている男ですが、このシニカルっぽさは、今までの戦争映画にはなかったものです。新鮮ですが、リアルです。

 余談ですが、さきにあげた「松山天狗」は、観世流のみに伝わる能で、しかも長年封印されており、明治になってからようやく演じられるようになったそうです。天皇なのに武士ごときにいいように扱われて最果ての地に流刑にされてしまった上皇の怒りは、長年、誰にも扱えないほど大きいものだったのでしょうか。

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# by ropponguimovie | 2006-12-08 21:40 |

今週、いちばん癒せる映画!vol.1  『007 カジノ・ロワイヤル』

 今週から、週に1本「今週、いちばん癒せる映画」を紹介して行きたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。

 今週の「いちばん癒せる映画」…『007 カジノ・ロワイヤル』(本当か!)

 試写を見たプレス陣からは早い段階から評判が高く、見るのを楽しみにしていました。

 で、私が今回のジェームス・ボンドに非常に強い印象を受けた点は…

1 ちゃんと仕事をしている。(!)
2 仕事をしているときは酒を飲まない。(!)
3 丸腰でも仕事ができる。(!!!)

 …と、ようするにちゃんと仕事をする人になっていました(笑)。

 でも、これは、007シリーズが作られるようになってからの、社会の変化、観客の変化が大いに影響していると思います。
 007シリーズって、今まで、私は見るたびに、頭の中で「植木等」の音楽がかかってました。「00ナンバーは、きらくな~ かぎょうと~ きたもんだ~」てなものです。クレイジーキャッツが歌うサラリーマンと同じように、思考停止したままでいいし、組織の名を借りてやりたい放題。「仕事って何?」ひいては、「この仕事をする自分って何?」と問うことなどなかったのです。

 それから、今回のボンドは、ボンド・ガールに対して今まで見せたかったことのなかった思いやりを見せます。殺人を目撃してしまったショックで、シャワーの中で泣きじゃくるヒロインを抱きしめてやるシーンは、寺島しのぶ主演の日本映画『ヴァイブレータ』を髣髴とさせる。若い頃の方が女性を包み込む包容力をもった男性として描かれています。

 こうした性格描写に大きな刺激を与えたのは、2002年の『ボーン・アイデンティティー』だったと私はふんでいます。
 酒も飲まないし、ずーっと暗い顔をしたままで「オレは一体誰なんだ!」と問い続ける、、でも仕事はめちゃめちゃできるスパイ、ジェイソン・ボーン。そんな地味な男が、観客にとっても意外なほど、かっこよく、見えたのです。
 歴代ボンド役の俳優に比べたらセクシーさでは数段劣るマット・デイモンと、歴代ボンド・ガールに比べたらセクシーさのかけらもないフランカ・ポテンテという地味なカップルで、興行収入1億ドルを稼いだのですから、意識せずにはいられないでしょう。さらにこのカップルは、ふたりで協力して仕事をする、対等なパートナーでもありました。

 経済自由化に加速がかかって、見る側は仕事や企業と自分のアイデンティティを一致させることができなくなり、仕事の中で「自分とは何者か?」を問い続けなければいけなくなっています。映画の中でMが「冷戦の頃がなつかしいわ」といっていますが、Mのいう「冷戦状態」とは、敵を単純に敵とみなし、思考停止したまま仕事を進められる時代のことをいっているのかと思うほどです。
 その中で、新しいジェームス・ボンドは、「この仕事は、自分にとってやる価値のある仕事なのか?」常に考えていますし、仕事に疑問を持てばやめようともします。けれども、いったんやると決めたらプロフェッショナル根性を発揮して、彼はしらふのままで、粛々と仕事を進めていきます。
 このような現代的な職業人の姿は、かつてのスーダラな007と違って、現代の観客の感情移入を容易にすると思うのです。

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# by ropponguimovie | 2006-12-07 22:41 |

【お知らせ】映画のメルマガ発行します。

 映画のブログが更新が追いつかなくなってめちゃくちゃになっちゃってからずいぶんたちます。それで、週に一度、一本ぐらいはオススメ映画を確実にお届けしたいと思い、メルマガを作ることにしました。
 
 『今週、いちばん癒せる映画!』 ←登録はこちらから。

 その週に公開する映画の中から一本お届けするので、試写と公開のタイムラグで「なんだその聞いたことのない映画は?」ということもなくなります。

 毎週金曜日発行の予定で、先週の分は「007 カジノ・ロワイヤル」をすでに書いたのですが、メルマガって、発行審査に数日かかるんことを知らなかった…。今日、審査を通過して、メルマガIDがとれました。

 まだ誰も登録していませんので、先週の分は今週の水曜日に発行することにします。
 今週の分は金曜日に発行します。

 皆様よろしくお願いします。
 映画宣伝関係の皆様、発行部数が1000超えたら、チケットプレゼント出してください(平)
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# by ropponguimovie | 2006-12-04 23:46 | メルマガ

2006年11月第1週~第4週に見た映画

『ダーウィンの悪夢』 2006.12月(シネマライズ) ★★★★★
 別項参照。

『聞かれた女』 ★★★★
感想   蒼井そら初主演のAVじゃない映画(サスペンス?)。彼女の演技がいい、というか独特。ふつうの劇映画じゃない世界で育っているせいか、セリフ回しが、現代演劇と歌舞伎ぐらいちがうのだ。たとえば、語尾が変なところで上がったりするのだが、そちらの方が現実の日常会話に近い。
そして、90分以内、ビデオ撮影、低予算の中でもきっちり見せているエンターテインメント映画。『ティム・バートンのコープス・ブライド』についで面白い80分台の映画でした。
難点は、蒼井そらに比べて、男優の『華』がなさすぎること。彼らはAV男優さんなのかな? AVでは黒子に徹するのがが使命なのかもしれないが、普通の劇映画では彼らを見る楽しみ、というのも与えてほしかったです。


『ルワンダの涙』 2007年春) ★★★★★
『ホテル・ルワンダ』よりこっちの方がすごいと思います。別項参照。


『子宮の記憶』 ★★★
感想   藤田宣水原作。松雪泰子が『フラガール』に続いて熱演。その夫の寺島進(もちろんDV夫)が、いまさらですがぴったりすぎのうますぎ。

『パプリカ』 公開中 ★★★★

やっと見ました、今敏監督最新作。筒井康隆の原作(ひとりの女性の中にふたりの女性の人格が存在する)は、安野廣明監督版の『キューティハニー』みたい。狂っちゃった人の頭の中の描写がすばらしいです。余談ですが、主人公の名前が1980年に物故したジャーナリスト・千葉敦子と同姓同名。

『硫黄島からの手紙』 ★★★★★

感想  文句なしすぎ。その後、2.3日たっても各試写室がその話題で持ちきりであった、というぐらい、後々までエモーションをじわじわとひっぱる。 また、ジャニーズの中で演技系分野では目だっていなかった二ノ宮和也がとてもいい仕事をしている。


『ラッキーナンバー7』 ★★
ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、ルーシー・リュー主演。これ、『12モンキース』みたいな映画なんだと思うけど、そこまで効果をあげていない気が…。


『インヴィジブル2』 2006年11月下旬) ★★
骨格のサスペンスを追うだけになってしまい、登場人物同士の感情の交流が何もないので、感情移入しずらかった。友情とかロマンスとかが前提にあって、透明人間になった人への痛みもわくのだと思う。

『ア・グッド・イヤー』 2007春 ★★★★
リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演の新作は、プロヴァンスを舞台にしたハート・ウォーミングストーリー。まさにワインのように「老成のうまみ」で作って見る人が落胆しないできばえ。相手役のマリオン・コティヤールが今までで一番きれいだった(ちょっとやせたかな?)とにかく脚きれい。


『スキャナー・ダークリー』 2007早春 ★★★★
 そうだよなー、リチャード・リンクレイター、一度はフィリップ・K・ディックの作品撮らなくっちゃねー。大好きなキアヌ・リーブスと大好きなウィノナ・ライダーのコンビも麻薬捜査官の話としてはぴったりだと思います。
「死者はゆめ生者のために存在してはならない。一方、死者はできるかぎり、生者を助けなければいけない」。麻薬常習者は死者でありながら生者である。そのどっちともつかなさのあいだで、登場人物も、現代人も揺れている。

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# by ropponguimovie | 2006-11-25 20:20 | 見た映画一覧(簡易星取表付き)

ワサップ!

 ラリー・クラーク監督の新作。製作総指揮・シャロン・ストーン。

 こういう映画は見ていて勇気がいる。主人公達の境遇は非常にタフだ。でも、彼らの選択は賢いとはいえない。「ホームレスになる人は好きでそうしているのだ」「自助努力が足りないのだ」という主張をする人たちに、すばらしい裏づけを与えてしまうようなストーリー展開。
 
 でもその代償はあまりに大きく、ホームタウンをスケボーで出発した彼らが出て行くときは9人だったのに、帰ってくるときは7人になってた。恐ろしい話なのに、こんなふうにあっさり書かせてしまう展開ぶりはさすがラリー・クラークの残酷さ。

 彼らに誰が「知恵」をつけてやる? 自分をもっと悪くしない「知恵」を。
 そして、ビバリーヒルズに住んでいる連中にも、誰が「知恵」をつけてやる? 本当の意味で退屈から抜け出す「知恵」を。

 2007年1月、シアター・イメージフォーラムにて公開。
  
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# by ropponguimovie | 2006-11-06 15:16 |

『SAW(ソウ)3』

 「2」のときはイマイチだなあと思っていたのだが、3になって俄然面白くなった。3が完結編で、私が1のときから抱いてきた疑問がきちんと解決されたからだと思う。
 その疑問というのは、映画を見た人なら誰でも抱くだろう疑問であり、逆にその疑問をあぶりだすことが実はこの映画シリーズに課せられたもっとも重要な「ゲーム」である。このゲームが提示されていたからこそジグソウは「20代の青年達が作り出したれレクター博士」になりえたのだと思う。
 その疑問というのは、「命の大切さを教えるったって、ほんとうに他者に『わからせること』がジグソウにできるのか?」そして「そんなことする資格がジグソウにあるのか?」という至極当然の疑問である。そしてこの疑問は、神(「運」とか「偶然」も含む)と人との境目はどこか、という普遍的な疑問を含んでいる。
(未完。公開後に補筆します))

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# by ropponguimovie | 2006-11-01 23:24 |

『グアンタナモ、僕達が見た真実』『約束の旅路』

 世の中には知らないことがいっぱいある。知るとつらいことを目に入れないようにして生きていくのはサヴァイヴァル・スキルの一つなので、知るとつらいことを目に入れる余裕があるということは、ありがたいことだと思っている。一方で、こんなことを知られずにいること、また、自分が知らなかった、というのを思うと、げんなりくる。

  マイケル・ウィンターボトム監督の新作、『ロード・トゥ・グアンタナモ』は、イギリス市民権をもつパキスタン系イギリス人が、パキスタンに里帰りした際、アルカイダに間違われて米軍に拘束され、グアンタナモ捕虜収容所に入れられてしまう話。このグアンタナモというのはキューバ(アメリカの自治区があり、そこではやり放題らしい。「グアンタナモ」で検索すると一杯出てくる)にある悪名高き収容所のことで、この映画がベルリンで銀熊賞を取った後、凱旋帰国した俳優(本人達がそのまま出演している)が、入国の際身柄拘束というおまけまでついた。
 
 『約束の旅路』は…、説明するだけでも複雑かつ泣けてくる話。エチオピアの山中には、古代からユダヤ教徒が住んでいた。近年になってヨーロッパ人が改修させたのではなく、自分たちを「ソロモン王とシバの女王の子孫」と称してユダヤ教徒であるエチオピア人がいるというのだ。
 70年代、エチオピアに内戦が起きて彼らがスーダンの難民キャンプに逃げようとすると、イスラエル本国のユダヤ人は、キャンプの中からユダヤ教徒だけを選んでイスラエルに「帰国」を実行した。これを「モーセ作戦」と呼ぶ。
 主人公シュロモは、母親とともにキャンプに流れ着いたが、彼はキリスト教徒だった。瀕死の母親は、息子をなんとか生かそうと、子どもを亡くしたばかりのユダヤ教女性に彼を託す。その女性は、彼が自分の息子でユダヤ人と偽ってくれ、シュロモ(ユダヤ教徒になってからつけられた名)をエルサレムに脱出させることに成功する。
 かくしてシュロモは命は助かったが、本当はユダヤ教徒ではないという自分を隠していること、黒人であるということで周囲から「二等ユダヤ人」的な扱いを受けることで、ますますアイデンティティの危機に襲われる…。

 原題がVa,vis et deviens というのだが、これは「行け、生きろ、(何者かに)なれ」という意味。母親がシュロモを捨てる(ユダヤ人女性に託す)に当たって彼にいったことばだ。これが泣ける。
 その場を去り、自分ではない別のものになれということは、アイデンティティ的には「生きるな」という意味である。しかし、生命のためにはそれが「生きろ」なのである。自分の一部を殺し、それにより新しい生を得る。それは、いじめから恋愛にいたるまで、人の魂の成長の軌跡である。であるから、この映画には非常に強い普遍性がある。それにしても、あまりに壮絶なストーリーである。


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# by ropponguimovie | 2006-10-26 23:54 | 比較論やエッセイ

『オーロラ』

 ひさびさに試写で2回見てしまった名作。
 オペラ座のスターが総出演するバレエ映画であるが、隠しテーマは「国防」である。国の「王様は、国の外側を固めようとして(さすがに「美しい国」というキャッチフレーズはないが)、その結果、誰も住みたくない国を作ってしまった。王様は悪いというより愚かな人形で、影で糸をひいているやつがいるというのも、示唆にとんでいる。そういう国では、王様は、愛する妻を失い、娘を政略結婚させようとする。

 主人公オーロラの弟で、将来は国を継ぐと見られていた弟が、画家になるため国を捨てるシーンで、弟は父親にいう。「ここはあなたの国だ。私は私の国を探す」。国は個人のアイデンティティの発展形であり、個人のアイデンティティは自分が築き上げるものであって、世襲できないものである。かつて王様はそのことを知っていた成熟した男で、だから彼の妻(オーロラの母親)は踊ることを自主的に捨てた。しかし、国を継がせるために息子や娘の個人のアイデンティティを育てることを禁じた日から、国は崩れていく。

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# by ropponguimovie | 2006-10-24 22:58 |

『父親たちの星条旗』

 クリント・イーストウッド監督作品って、(みんなが今までどんなに誉めても)私には「?」だったのだが、今回は初めて手放しでいいと思った。彼の演出手法と作品がぴたりとあっていて、互いがよい出会いをしたという感じだ。

 イーストウッドに一貫したテーマがあるとすれば、「ヒーローであることの苦悩」「ヒーローであることの欺瞞」「ヒーローであることの居心地悪さ」だと思う。硫黄島で星条旗を立てたという行為が実は「やらせ」だったかもしれない、という今回のモチーフは、イーストウッドのこうしたテーマに実にぴったりなのだ。

 とにかくクール。べたっとしたこくはゼロで、非常にキレのある演出である。ヒロイズムも、センチメンタリズムも、自虐史観もない戦争映画。ニュートラルだがいいたいことがないわけではない。

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# by ropponguimovie | 2006-10-23 09:08

『クロイツェル・ソナタ』

 原作はトルストイで目新しさはなく、歌舞伎のようにできている話を楽しむ映画である。
 主演の夫婦ふたりが非常に美しいのだが、その美しさが「虚像の夫婦」としてうまく使われている。
 ただ、トルストイが原作で書かなかったのか、映画のなかでカットされているのかわからないが、女の方がどうしてこの結婚にのってしまったのかの描きこみが少なかった。夫の方は、子どもの頃からの生い立ちによって、家族に対して「憧れと憎しみ」を同時にもっていたことが描かれている。しかし、夫に強引にくどかれ、一時は主婦・母になることに喜びを感じていた妻はなぜそのような選択をし、同時になぜ家庭の中に息苦しさを感じるようになったのだろうか。

 夫の目がくりくりしているからかもしれないが、ヒロミ・ゴーとユリエ・ニタニの夫婦を思い出しちゃった。ユリエ・ニタニは、「3回で結婚を申し込まれた」を、どうしてノーをいうすべもなく、押し倒されるように受けてしまったのだろう。

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# by ropponguimovie | 2006-10-22 23:12 |

『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』

 上映前に資料を読まずに映画が始まってしまったので、フィクションなのかノンフィクションなのか、ドキュメンタリーなのか劇映画なのか、全然わからなくて面くらい、そのどこにいるのかわからない感じがかえって心地よかった。ドキュメンタリーと劇映画の境目をぼかす描き方はこの映画だけでなくすっかり定着した21世紀型の映像芸術ともいえるし、現実世界でもその境目がなくなってきたといえるし、人々が2つを分けるパラダイムを破棄し始めた、ともいえる。

 それにしても…ジョナサン・リース・マイヤーズ(最近すっかりたるんでる、たぶん、すごい酒量だと思う)のデビュー時もぶっとぶ美青年ぶりだ。しかも双子だ。おまけに結合体双生児だ。幸運と不運が強烈に同居している。

 イギリスというのは世界でもっとも同性愛を許容しない文化の一つだと思うが、そのイギリスからこうも次から次へと「美しい男」が生まれ出でてくるのが面白い。もしかして、トランスジェンダーへの非寛容は、万に一つ、かえってその高いハードルを越えて生まれてくる美男子を生み出すための土壌なのだろうか。

 今資料を整理していたら、「ザ・バンバン 未発表オリジナルアルバムリリース決定」というチラシが挟み込まれていた。実在したのか? ザ・バンバン。いやいや、信じないぞ、と思わせてしまうほど、よくできた、美しくて悲しいお話である。

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# by ropponguimovie | 2006-10-22 17:28 |