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タッチ・オブ・スパイス

11.25鑑賞
2005年正月第二弾 文化村ル・シネマにて公開

 ギリシャ(やはりハリウッド映画が強いらしい)で、国内史上2位の興行収入を樹立したヒューマン・ドラマ。
 2005年アカデミー外国映画賞ギリシャ代表。

 映画をたくさん見られる幸運に恵まれていちばん感じることは、世界の映画を見れば見るほど、世界中は戦争だらけだと知ることだ。悲しみを知ることが映画評論家の仕事なのだ。

 本作は、1960年代のギリシャとトルコが舞台。隣接するこの二国は、地理的、宗教的な面から深刻な対立が続いている。その間をはさむキプロス(北キプロス・トルコ共和国)が、ちょうどアイルランドのような存在。

 主人公の少年一家は、イスタンブールに大家族で住むスパイス店。しかし、ギリシャ人強制退去の命令を受け、少年は大好きなおじいさんと離れ離れになる。「スパイスが分かれば、宇宙が分かる」というおじいさんの教えのもと、少年は、料理の好きな少年からやがて天文学者になるが、壊された過去を修復するためには、長い長い時間が必要だった…。

 最後がいい。結構残酷に、時間は取り返せないのだということを見せ付けるのだけれど、年を経た主人公達が、おとなになったというまさにその力で過去を乗り越えていく姿に、しみじみとさせられます。
by ropponguimovie | 2004-11-27 14:03
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