『愛についてのキンゼイ・レポート』

 「キンゼイ」って、今の若い人たち、知ってるのかしら? 1940年代ににアメリカのキンゼイ博士が性についての質問を全米18000人に対し面接調査、それを本にまとめたのが「キンゼイ・レポート」だ。
 …ということは私もぼんやり知っていたけど、1948年に出版された男性版が学術書としては史上初の20万部を売り上げたこと、男性版で彼は名声を得たのに、その5年後に発売された女性版によって彼は学会を追われること(女達の婚前交渉や自慰体験を暴いたから)、こうした調査はロックフェラー財団の資金援助によって行われ、また同財団の資金打ち切りによって、彼の研究は終わらざるをえなかったこと、などは、今回の映画を見るまで知らなかった。

 キンゼイを通してこの映画が訴えてくることは2つある。「僕には、どれが普通か、正常かということはできない」。「『マスターベーションしすぎるとガンになるのか?』 僕にはわからない」。つまり、彼がやったことは、性をあからさまに白日のもとにさらしたというよりは、わからないことはわからないと素直に認めるということだった。キンゼイは、光を当てることができることとできないことを分類することに成功した。それが彼の功績だったのである。

 この映画は、キンゼイが彼の父を乗り越える物語でもある。キンゼイの父は厳格な道徳主義者であり、また息子の生き方に干渉しすぎたことからふたりの関係は決裂する。
 世の中には、すべてが「ドレミファ」に聞こえてしまう絶対音感という人がいるが、科学者キンゼイはすべての人が「個体差をもつ性的存在」に見えるという「絶対性科学者」となった。そうなることで、(つまり、父のことも一つの個体と見ることで)彼は父を乗り越えたのである。また被験者となった父の自らの性を述べるシーンもとても良い。

 主演のリーアム・ニーソン、キンゼイの妻役を演じたローラ・リニーがとてもいいのだが、さらに書くべきは彼の助手を演じたピーター・サースガード! 彼はほんと、これからもどんどん伸びていくだろう演技派ですね。『ニュースの天才』のときハンサムじゃないと書いちゃったけど、今回はなかなかどうしてセクシーだったですよ(とくに体毛が。余談ですけど、「胸毛」って「指紋」と同じぐらいひとりひとり違うんですね)
 
6月14日鑑賞
8月 シネマスクエアとうきゅう シネスイッチ銀座他にて公開
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by ropponguimovie | 2005-06-15 09:45
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