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今週、いちばん癒せる映画!vol.1  『007 カジノ・ロワイヤル』

 今週から、週に1本「今週、いちばん癒せる映画」を紹介して行きたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。

 今週の「いちばん癒せる映画」…『007 カジノ・ロワイヤル』(本当か!)

 試写を見たプレス陣からは早い段階から評判が高く、見るのを楽しみにしていました。

 で、私が今回のジェームス・ボンドに非常に強い印象を受けた点は…

1 ちゃんと仕事をしている。(!)
2 仕事をしているときは酒を飲まない。(!)
3 丸腰でも仕事ができる。(!!!)

 …と、ようするにちゃんと仕事をする人になっていました(笑)。

 でも、これは、007シリーズが作られるようになってからの、社会の変化、観客の変化が大いに影響していると思います。
 007シリーズって、今まで、私は見るたびに、頭の中で「植木等」の音楽がかかってました。「00ナンバーは、きらくな~ かぎょうと~ きたもんだ~」てなものです。クレイジーキャッツが歌うサラリーマンと同じように、思考停止したままでいいし、組織の名を借りてやりたい放題。「仕事って何?」ひいては、「この仕事をする自分って何?」と問うことなどなかったのです。

 それから、今回のボンドは、ボンド・ガールに対して今まで見せたかったことのなかった思いやりを見せます。殺人を目撃してしまったショックで、シャワーの中で泣きじゃくるヒロインを抱きしめてやるシーンは、寺島しのぶ主演の日本映画『ヴァイブレータ』を髣髴とさせる。若い頃の方が女性を包み込む包容力をもった男性として描かれています。

 こうした性格描写に大きな刺激を与えたのは、2002年の『ボーン・アイデンティティー』だったと私はふんでいます。
 酒も飲まないし、ずーっと暗い顔をしたままで「オレは一体誰なんだ!」と問い続ける、、でも仕事はめちゃめちゃできるスパイ、ジェイソン・ボーン。そんな地味な男が、観客にとっても意外なほど、かっこよく、見えたのです。
 歴代ボンド役の俳優に比べたらセクシーさでは数段劣るマット・デイモンと、歴代ボンド・ガールに比べたらセクシーさのかけらもないフランカ・ポテンテという地味なカップルで、興行収入1億ドルを稼いだのですから、意識せずにはいられないでしょう。さらにこのカップルは、ふたりで協力して仕事をする、対等なパートナーでもありました。

 経済自由化に加速がかかって、見る側は仕事や企業と自分のアイデンティティを一致させることができなくなり、仕事の中で「自分とは何者か?」を問い続けなければいけなくなっています。映画の中でMが「冷戦の頃がなつかしいわ」といっていますが、Mのいう「冷戦状態」とは、敵を単純に敵とみなし、思考停止したまま仕事を進められる時代のことをいっているのかと思うほどです。
 その中で、新しいジェームス・ボンドは、「この仕事は、自分にとってやる価値のある仕事なのか?」常に考えていますし、仕事に疑問を持てばやめようともします。けれども、いったんやると決めたらプロフェッショナル根性を発揮して、彼はしらふのままで、粛々と仕事を進めていきます。
 このような現代的な職業人の姿は、かつてのスーダラな007と違って、現代の観客の感情移入を容易にすると思うのです。

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by ropponguimovie | 2006-12-07 22:41 |
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